単衣の仕立て②

先回は、単衣の背縫いまで説明させていただきました。

先回のブログはこちらから

今回は、脇縫いを説明させていただきます。

◆単衣着物の脇

脇縫いの方法として、脇縫いをして脇縫い代を前身頃側に倒し脇納めをする方法と、ウールなどで行うミシン縫いをした場合に「縫い割る」方法、絹単衣着物などに行う「縫い目隠し」の方法があります。

片側に倒す方法

手縫いの場合は、浴衣より細かく、素材に応じた針目で脇を縫います。次に前身頃に縫い代を倒し、裾から裾くけ代分上がったところで、折りぐけ代分切り込みを入れ、脇縫い代を折りぐけで身頃にくけ付けます。後身頃いっぱいに居敷当てが付く場合、この方法で居敷当ても一緒に、くけ付ける場合がありますが、薄物や絽小紋など裏側の色が透けてしまう場合は、くけ代や居敷当てを織り込む位置など、工夫をします。(ミシン仕立てでもこの方法で行うことがあります)

折りぐけ

折りぐけ

 

ウール着物などミシン縫いの場合で縫い割りにする方法

ウール着物などのミシン仕立てで行う方法です。脇縫いをした後、脇縫い代を下図のように脇縫い縫い目で縫い割り(縫い代を広げて割る)にします。

ウール脇納め1-1

鏝(こて)などで、しっかり縫い目を押さえます。

ウール脇納め1-2

裾から裾くけ代分上がったところで、折りぐけ代分切り込みを入れ、脇縫い代を折りぐけで身頃にくけ付けます。

ウール脇納め2-1

 

縫い目隠し

始めに通常通り脇縫いをし、その縫い目から約4mm程度上を空縫いします。

縫い目隠し01-1

脇縫いで被折りをし、前身頃へ縫い代を倒します。次に空縫いに沿って脇縫い代を開きます。

縫い目隠し01-2

裏側から脇縫いと空縫いの間に綴じを入れます。

縫い目隠し02-1

裾から裾くけ代上がったところで、脇納めのくけ代分、切り込みを入れます。絽など表側から見て、透ける物などは脇納めのくけ代分を深くする場合があります。

縫い目隠し02-2

居敷当てが付く場合は、「片側に倒す方法」で脇納めをします。地方によって、呉服店によっても「縫い目隠し」をしたり、しなかったりします。

縫い目隠しにまつわる師匠との雑談で・・・・

この縫い目隠しの方法(脇、衽、など縫い目隠しにします)は、中部地方あたりで行われ始めたそうで、昔、東京から来られた和裁の先生が、この縫い目隠しの方法を見て、「縫い目が見えないなんて、粗く縫って飛ばす方法だ!縫い目のあら隠しだ。東京の職人は、縫い目を見せて仕立てをしている。」と言われたことがあるそうです。

この言葉を胸に、私達はきちんと単衣の縫い目で縫っています。

 

次回に続く・・・・・

 

 

 

 

 

 

単衣の仕立て①

先回は、浴衣の仕立て方について説明させていただきました。

(先回のブログはこちらから)

今回からは、単衣の仕立て方について説明いたします。

浴衣以外の単衣物の生地としては、絹物は夏大島や夏塩沢など全国津々浦々産地がありますが、麻は○○上布と名前が付く越後上布が有名で、他には小千谷縮などが有名ですね。木綿生地では久留米絣やしじら織りなど。沖縄の芭蕉布もありますが、その他、化繊やウールなども単衣着物の反物として使われています。

余談ですが・・・・・

そう言えば、現在ではもう見ることが殆どなくなってしまったウール・・・・30年以上前、私の修業時代、晩秋から年末はウールアンサンブル(着物と羽織)の仕立物が、ドーンと来ました。修業1年目ではウールの仕立てが多く、ウールの毛が部屋中に漂う中、仕事をしていました。また、モス(毛斯と書きます。ウール製)の長襦袢も、男物、女物問わずありました。お正月には皆さん、ウールのアンサンブルを着て、初詣に行ったり、コタツでミカンを食べながらくつろいでいましたっけ。
今では、反物を織る業者さんも殆どなくなってしまい、私たちの所へ来る仕立物は、皆無となってしまいました。

本物のウール織物は染めた糸で織ってあるので、表裏が区別付きません。中にはプリント(片面染めのもの)の物もありました。女物は主に連続した椿や井桁、格子柄などの柄があしらわれていて、可愛らしい子供用の物もありました。アンサンブルは羽織と着物の柄の関係など考慮し、裁断時には何度も確認をして鋏を入れます。

絹などの単衣物の仕立て方は、浴衣より手間暇掛けて仕立てます。縮みますのでアイロンを掛けて地直しをし、横糸を真っ直ぐにします。裁断にも気を遣います。着物は後で縫い直せるように内揚げ(身頃の腰あたりに摘まむ縫い代)と衽や衿などの各パーツの縫い代も考慮して裁断します。

浴衣はパリッとしていて糊が効いていますので、サッと折りが付けられますが、縮緬など絹物は柔らかくて薄く、手縫いの場合は、浴衣より細かい針目で縫い、折りが付きにくいので、時間を掛けてしっかり押さえながらの作業となります。単衣着物の仕立て方は、伸び縮みもしますので、浴衣よりワンランク上の仕立て方となり時間が掛かります。

◆単衣着物の背縫い

単衣着物の背縫いは、浴衣とは違い、袋縫い・伏せ縫い・別背伏せ布・共背伏せ布などの方法があります。

袋縫い

1.ウール生地などの背縫いに「袋縫い」という方法で背縫いを行います。始めに身頃の生地を外表(外側に表側が来るように)に合わせ、下図のように右身頃を4mmずらし、2mmの所を空縫いします。(ずらさずに縫う方法もあります)四ッ山から裾くけ代分上がったところまで、縫います。
袋縫い1-1

 

2.裾で、裾くけ代分(2cm程度)のところで、下図のように空縫いより少々深く切り込みを入れます。
袋縫い1-2

 

3.左身頃側に、空縫い縫い目より極浅い被(きせ)折りをします。
袋縫い2-1

 

4.中表にして、3で折った被(きせ)山から2mm程度、右身頃を出して折りを付けます。背縫い代は左身頃側に倒れるため、右身頃を2mm程度出します。
袋縫い2-2

 

5.下図のように、裾から1cmの深さで背縫いをします。その後、縫い返しもします。(背縫い代は左身頃側に倒れるため、裾を右側にして見える方を手前にして縫うためです。サウスポーの方は、逆で、四ッ山から縫い始めます。)裏側から背縫いの縫い目が見えます。
袋縫い3-1

伏せ縫い

1.「伏せ縫い」という方法も、主にウールなどの背縫いで行います。中表(表側を合わせ、内側が表になるように)に合わせ、5mmほどずらし、下図のように1cmの深さで背縫いをします。縫い返しも行います。この状態で、身頃の標付けを行います。
伏せ縫い1-1

 

2.標付け後、裾から裾くけ代分のところで、ずらした身頃(右身頃)の5mmの深さで切り込みを入れます。背縫い代を左身頃側に倒し、被(きせ)折りをします。
伏せ縫い1-2

 

3.切り込みを入れた裾から、四ッ山まで、1cmの背縫い代を包み、身頃に「折りぐけ」でくけ付けます。裏側からは背縫いの縫い目が見えます。
伏せ縫い2-1

 

4.表側には、くけ目が出ます。縫い代が動かない背縫いの方法です。
伏せ縫い2-2


別背伏せ布

別の布を使って、背縫いをする方法です。主に絹単衣物に使われます。色は様々なものがあり、私が知る限りでは、絹物と化繊の背伏布があります。
背伏布

幅は3㎝程で長さは1.7m程度の薄いテープ状の布です。

 

1.身頃の布を中表に合わせ、裾から裾くけ代分あがったとことから、四ッ山まで別背伏布を付けます。1cmの背縫い代が包めるように、背伏布の幅を考慮して背伏布の縫い代(私は6mm位です)を決め3枚一緒に縫い合わせます。背伏布は、殆ど縮みませんので、身頃の生地の性質を考えて付けます。

別背伏布1-1

 

2.背縫いの縫い目に対して、殆ど被(きせ)をかけず背伏布を縫い目に沿って折り返します。

別背伏布1-2

 

3.1cmの背縫い代を包み、縫い目に背伏布を本ぐけ(ほぼ縫いと同じ間隔)でくけ付けます。裏側から見ても、背縫いの縫い目が見えません。

別背伏布2-2

 

別背伏布

別背伏布

 

※呉服店によって、上記2の状態で標付けをして、その後、伏せ縫いのように別背伏布を身頃にくけ付ける場合もあります。(この場合は、表側にくけ目が出ます)

 

共背伏せ布

上の別背伏布を、同じ生地で背縫いをする場合「共背伏」と言います。衿・衽の中央からテープ状に共背伏を取ったり、残布から何本かを継ぎ合わせて背伏布にします。縫い目にくけ付けたり、身頃にくけ付けたりします。厚みが増して、別背伏布等より背縫い代がゴロゴロします。

 

次回に続きます・・・・・・

 

 

浴衣の仕立て④

先回は、肩当てまで説明させていただきました。

(先回のブログはこちらから)

◆浴衣の衿について

浴衣の衿は、掛け衿を本衿(地衿)に付けてから、衿付けをします。(掛け衿の束付けと言います)それに対してウールや絹物などは、本衿を先に付けてから、本衿に掛け衿を縫い付けますので(このことを掛け衿の別付けと言います)、掛け衿が汚れた場合、比較的スムーズに掛け衿を外すことができ、掛け衿のみの染み抜き等ができます。浴衣は先に掛け衿を付けるので、掛け衿のみを取り外すことができないので、本衿も外さないとできません。

浴衣の掛け衿01

掛け衿の関する以前のブログは、下をクリックすると移動します。

・掛け衿の話(経験談)

・掛け衿と半衿の話

愛知県という土地柄?なのか、地方によっても違うのかもしれませんが、私たちは、浴衣の掛け衿丈(背から掛け衿先までの距離)を約45cmにしています。背から剣先(衽の先端)までの距離が約35cmで、剣先から10cm位の所に掛け衿先となるようにします。繰り越しが大きい方は、剣先の距離が長くなりますので、掛け衿丈も長くします。男物は剣先が比較的高いのと繰り越しが付かないので、掛け衿丈も短めで43cm前後としています。

浴衣はお風呂上がりにはおり、夏場の夕方から着はじめる着物ですので、その他の着物と比較して軽装で、涼しさを演出するため?なのかもしれませんが、あまり重苦しくならないように掛け衿も短め。それに対して色無地、付下げや訪問着など浴衣以外の着物は、浴衣より長めです。30年前では浴衣以外の着物の掛け衿丈は47~49cm位でしたが、10年程前からそれよりも更に2cm位長くなってきています。着方や体型にもよりますが、掛け衿先が帯の中に隠れる程度の長さとなっていますね。

浴衣掛け衿丈01

女物浴衣の衿はバチ衿が原則です。綿紅梅など高級浴衣を広衿にして着られる方もいますが、広衿とバチ衿の裁断方法が違いますので、急に変更されると困ってしまう場合がありますので注意が必要です。

浴衣衿幅01

  • バチ衿の衿幅
    衿先 7.6cm
    剣先 6.7cm
    衿肩廻り 5.7cm
  • 広衿の衿幅
    11.4cm

◆浴衣の袖

振袖以外の式服等の着物の袖丸み(袂丸)は殆ど2cm丸みですが、女物浴衣の袖の丸みは、着る方の年齢、柄の大きさを考慮して、4cmとか、3cmとか、大きな丸みを付けています。

袖振り納めは、原則「耳ぐけ」で、袖付けより4cm位上までくけ付けます。(折りぐけの場合もあります)

浴衣の袖振り01

◆浴衣の居敷当て

浴衣居敷当て

以前のブログ(浴衣の居敷当てについて)でも紹介しましたが、女物の場合、裾から45cm位の所に同じ生地で、上の図のように付けます。ちょうどお尻あたりに付けます。

また、絞りの浴衣などで、伸びてしまわないように、また、下着が透けないように、繰り越し摘まみの位置から裾まで晒木綿等で、下の写真の様に長く居敷当てを付ける場合もあります。

絞り浴衣の居敷当て

絞り浴衣の居敷当て

◆浴衣について・その他

以上が、浴衣の仕立て方についてでした。

縫製する方法で「手縫い」と「ミシン仕立て」があります。

「手縫い仕立て」は全て、縫いも、くけも手縫いで行い、「ミシン仕立て」は背縫い・脇縫い・衽付け・衿付け・袖付けのみミシンで縫い、後の部分の脇納め・衽納め・裾立褄のくけ・衿納めなどは、手縫いで行います。表側から見たら、手縫いなのかミシン縫いなのかは分かりません。

「洗濯などするのでミシンの方がしっかりするから」という理由から、真岡木綿の場合、ミシン仕立てが多いです。絞り染めや薄い生地の浴衣は、ミシン仕立てをすると生地の性質から縫い目が伸びてしまうので、ミシン縫いは適さず、手縫いが一般的です。

浴衣絞り染め

浴衣絞り染め

【浴衣の仕立て代について:税抜きです】

  • 真岡木綿の浴衣
    手縫い・・・15,000円程度
    ミシン仕立て・・・12,000円程度
  • 絞り・ちじみ・綿紅梅・綿絽等高級浴衣
    手縫い・・・20,000円程度
  • 広衿にする場合・・・3,000円追加
  • 居敷当て付け(短い物)・・・1,000円追加(布代別)
  • 居敷当て付け(腰から裾まで)・・・2,000円追加(布代別)

仕立て上がり品に居敷当てを付ける場合は5,000円~(布代別)

 

些細なことでもご相談承ります。お気軽にお電話ください。

 

次回は、単衣着物の仕立て方です。

浴衣の仕立て②

先回は、浴衣の反物まで説明させていただきました。

先回のブログはこちらをクリック

【先回の補足説明です】

女物を中心に説明させていただきましたが、男物浴衣の反物の長さも女物浴衣の反物の長さも同じくらいです。男物は、お端折りせず着ますので、その分、短い身丈となりますが、後々女物浴衣にも仕立て換え出来るように、また、お端折りのない男物ですので縮んだら直せるように、男物を仕立てる際には、最大15cm位を目安に身頃に内揚げを入れ、その他の部分にも仕立て直しが出来るように縫い代を入れて仕立てています。(居敷当てと肩当てを取って、残りを内揚げに入れていますので、身長がとても大きい方の浴衣は、内揚げが少なくなります)

 

今回は、針目から説明いたします。

 

◆浴衣の針目

浴衣の真岡生地は、糊が効いていて、パリッとした生地です。絹物などと比べて厚手なので手縫いの場合、縫い目も絹物などと比べて少々粗い縫い目となりなります。真岡生地と比べ、絞りや綿紅梅、綿絽など高級浴衣生地は、薄地なので細かい針目にしています。(縫い目に規定について『和服裁縫「針目・縫い目」の話を』ご覧下さい←青文字をクリック)

また、縫い代が幾重にも重なっている部分や、袖付けや衿先、脇止まり(身八ッ口)、裾など力が加わる箇所は半返し縫いや縫い返しをしています。

縫い目

 

◆浴衣の地直し

ウール、麻、絹物などの仕立ては、地の目(横糸)のねじれ等を修正する地直し(アイロン掛け)をしますが、真岡生地の浴衣はしません。よっぽどひどいものは、霧吹きを掛けて手で引っ張り整える程度です。その他の浴衣生地で、絞りや綿紅梅、綿絽など高級浴衣生地がありますが、絞り以外の綿紅梅や綿絽等の太い糸で格子状に織られている物や、横糸が目立つ生地については、蒸気アイロン等で出来るだけ横糸のねじれを整え、裾の出来上がりが横糸真っ直ぐになるようにしています。(出来ない場合もあります)

 

◆浴衣の背縫い

浴衣の背縫いは、2度縫いという方法で縫います。

背縫い(本縫い)は、深さ1~1.2cm程度で縫い合わせ、補強の意味で裾から75~80cmほど縫い返しをします。あと、背縫い代が広がらないように、耳端より数ミリの所を1度縫います。

浴衣背縫い01

 

◆浴衣の脇納め・衽納め

脇縫いと衽付けは、裾から約10cm、裾の補強のために縫い返しをしています。

また、「納め」という言葉は、縫い代などを始末することを言います。脇納め・衽納め・衿納め・振り納めというように言葉を使います。

浴衣の脇納めは、原則、「耳ぐけ」という方法で脇縫い代を身頃にくけ付けます。縫い代側(裏側)の耳端にに2つ、その間に表側に1つ小さな針目を出します。間隔は、2.5cm程度で、縫い代の幅が細い箇所は、間隔を小さくします。

浴衣の耳ぐけ

浴衣の耳ぐけ

最近の若い女性は裄が長いため、後幅と肩幅の差が大きくなり、縫い代が身頃について行かない場合があります。身八ッ口のあたりの縫い代に、部分的に霧吹きを吹き、鏝で耳端を伸ばしますが、耳ぐけの脇納めでは出来ない場合、「折りくげ」にします。

折りぐけ

折りぐけ

浴衣脇の出来上がり

浴衣脇の出来上がり

衽納めにも、「折りぐけ」で納めます。

次回に続きます・・・・・・(クリックするとジャンプします)

 

浴衣の仕立て①

5月も後半。浴衣や単衣の仕立て依頼が来始めています。

浴衣は、大型スーパーなどで○点セット○○○○円とか、既製品のものが多く出回っています。洋裁サイズの生地でミシン縫いっぱなしの仕立てのようです。既製品の浴衣を「サイズが合わないから、直してください」と、持ってこられるお客さんも、ちらほら来られますが、直し代を含めると、気に入った柄の反物から仕立てた方が、お値打ちになる場合もございます。

今回は、「浴衣の仕立て」と「単衣の仕立て」の違いについて説明をします。浴衣といえば、綿の生地で当然、単衣仕立てです。他の素材ではウールや化繊、麻、絹物などの生地でも、単衣仕立てがあります。私たちは、同じ単衣仕立てでも、違った仕立て方をしています。

◆浴衣の仕立て

・岡木綿・真岡(まおか・もおか)木綿の浴衣生地の仕立て

私たちは、普通の浴衣生地を真岡(まおか)と呼んでいます。どんな生地かというと、温泉旅館などで着る浴衣生地を想像してください。

私は知らなかったんですが、仕事や業界の慣れって恐ろしいもので、調べてみると真岡は「もおか」という読み方が殆どでした(-_-;)

私が和裁の修行に入った30年以上前では、浴衣の生地は真岡が多く、藍染めが主流。当然色も紺や濃紺、女性ものは赤い花柄などをあしらったもの、男物は白と紺の2色が殆どでした。

P1110189

使う糸も白・黒・紺程度の色で太口綿の糸を使って縫い、くけは細口糸と決まっていました。修業に入りたての頃で、今に比べると、糊がとても効いていて、堅く、縫うのも一苦労だったような思い出があります。今、思えばその苦労が運針の練習になったと思いますが、縫った後は、指ぬきも指先も、掛け張りのゴムも真っ青!でした。

DARUMA HPより

DARUMA HPより

今では、藍染めのものは少なくなり、様々な色のものや、織り方が変わったものが多く出回っています。化学染料のため、藍染めのものでやっていた「色止め」をする事はなくなってきました。太口糸の色も、そんなに多く色の種類がないので、現在、私たちは化繊の糸を使って縫っています。

真岡生地は糊付けしてあるので折りも付きやすく、仕立て上がりもパリッとしていてますが、シワが付きやすいというデメリットもあります。アイロン掛けが出来るご家庭ならば、洗濯も可能ですが、糊が取れて柔らかくなり、縮みます。

この真岡生地の女物浴衣は、着られる方の身長にもよりますが、反物の長さが短く、繰り越し摘まみは取ることが出来ても、身頃の内揚げ(胴あたりに摘まんで縫ってある縫い代)を入れることができません。衽や衿などの縫い代もあまりないので、身丈を伸ばすといった仕立て直しは出来かねます。

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 次回に続きます(←クリックするとジャンプします)

 

 

最近多くなってきている「仕立て直し」

早いもので、平成29年がスタートしてもう2月半ばになりました。先日、豊橋市では鬼祭りが行われ、この鬼祭りが終わると春になると言われています。しかし、立春も過ぎたと言うものの、梅の花が咲いているところもあれば、雪が降っている場所もあり、まだまだ春は遠いのかな?とも思ったりしています。

さて、最近、裄直しなどの寸法直し、長襦袢の半衿掛けなどの仕事が多いですが、仕立て直しも多くなってきています。

先日では、仕立て上がった振袖・長襦袢・袋帯を持ってお母様がお越しくださいました。お母様の姉妹が着て、今度は娘さんが着ることとなり、身長も、体型も似ているのでそのままでも着られそうなのですが、裏地などの汚れが目立つのと綺麗にして着せてあげたいとのことで、洗い張り(解いて生地を洗うこと)をして、裏地取り替え・仕立て直しをしました。

以上の内容の振袖仕立て代(振袖仕立て代・洗い張り代・裏地代・縫い跡の修正代等を含め)は、合計で10万円程度です。(※染み抜きや修正箇所等によって仕立て代は変わります)

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私が七五三と成人式に着た着物は、息子2人とも着ています。息子達の着た姿を見ると、嬉しくもあり、頼もしくもあり、私が二十歳の頃のこれからの大きな希望と不安が入り交じった気持ちも思い出し、息子達も同じ気持ちかな・・・なんていろんな事を思ったりしました。

日本にはいろんな通過儀礼があって、和服は深く関わっています。親が着たものを、その子供が着る。親の気持ちが衣服に宿って、「がんばれ~」とか「立派な成人になってね」とか、子供が着ることによって伝わるような気がしますね。20年以上の前の衣類が、次の世代でも着ることができ、リメイク・リフォーム・リサイクルできる和服は、世界でも珍しいのではないのかな??

 

以前、テレビで成人式の様子をニュースで放送していました。ある女性の新成人が無地の振袖を着てインタビューに「お母さんが着た振袖です。無地の振袖の方が他の人と違って目立つから、着ることにしました!」と答えていたことが印象的でした。成人式全体の様子も映像が流れましたが、仕立て屋の仕事をしているせいか、男性の羽織袴もなんか・・・・・殆どが柄が同じに見えてしまいます。

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以前のブログにも載せましたが、七五三でも同じように感じてしまいます。(七五三の以前のブログはこちら)成人式も七五三の延長のような・・・・・一つ一つの着物を見ていれば、蛍光色っぽい花が全体に散りばめられていて、可愛いく豪華に見えますが、同じ雰囲気の柄が集まると、見栄えがしない気がします。昔の方が日本の色を使い古典調柄をあしらったものが多く、それぞれが主張していたようにも思えます。

 

また、別の日には、喪服と長襦袢を持って来られた方がいました。嫁いだ時に持ってきた喪服ですが、今まで一度も着ていなく、躾も付いている状態でした。近々着られる予定があるので、はおってみたら幅が狭くて・・・・と相談に来られました。

喪服

見てみてみると・・・・・

  • 喪服ですので、一度も着ていなくても身幅を広げる場合、縫った跡(標)や折り跡が出てしまいますので、その跡を目立たなくする修正が必要
  • 裏地は時間が経っているため、黄ばみが出ているので、取り替えた方が良いのでは
  • 体型が変わったために、身幅(脇)のみの寸法直しでは着やすくならない。衽幅や抱き幅などの寸法直しが必要かと思われる。
  • 身丈も短く、また、袖丈が長い。
  • 縫い跡修正と着やすい幅直し、袖丈直し、裏地取り替え等という方法もあるが、殆ど解いてしまうため、仕立て直しとの価格の差はあまり無い
  • 仕立て直しの方が、一から仕立て直すので部分寸法直しより、きっちり仕立てることができる。

と、説明させていただき、縫い跡修正、裏地取り替え、仕立て直しをさせていただきました。縫い跡の修正は、染み抜き屋さんにお願いしていますが、昔の喪服の生地は染めも織り糸もしっかりとしていて、綺麗に修正できました。

以上の袷喪服の仕立て代(仕立て代・裏地代・着用時に見える箇所の上前の部分と裾の修正等を含め)は、6万円程度でした。(※染み抜きや修正箇所等によって仕立て代は変わります)

最近、喪服の仕立ては海外で行っており、私たちの所へは殆ど来ません。今、作られている喪服の生地は、全てではないですが以前よりだいぶ薄くなったものが多くなっているように思います。そのような喪服の生地を仕立てる時に注意しなければならないのは、一度縫ったら、伸びてしまい、染料がはげてうっすらと白くなってしまうので、縫い直しができません。そして、この様な生地は幅を広げたり、丈を直すという仕立て直しは無理かと思われます。

また、和裁組合の研修会で、紋屋さんの講演があったのですが、現在の喪服の生地は、「カラスの濡れ羽色」のように黒色をよく見せるために、ワックスを掛けるそうです。なので、紋入れの際には染料が乗らず、一度ワックスを取ってから、紋を入れるそうです。

 

今でも、しっかりと織り糸から吟味して、古くから伝わる技法で柄を染め、作り直しを考えた反物もありますが、反面、デザインのみに目が行ってしまいがちな、反物(きのも)もありますね~

 

 

 

袋帯の仕立て方(垂先・手先)

袋帯の垂先・手先の仕立て方には、いろいろな方法があります。
以前に説明した織り止め(垂先・手先に太く織ってある線)の出し方については「袋帯の地方色(帯について その2)」をご覧ください。(クリックするとジャンプします)

・垂先・手先を縫う方法
裏側を数ミリ控えて、縫う方法です。中表にひっくり返した後、垂先の出来上がりで縫い、帯芯を入れて綴じ、表にひっくり返して手先を本ぐけで縫う方法です。表地と裏地がピタッと、くっついている仕立て方です。
◆表側
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◆裏側
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帯芯を入れた後、手先・垂先を出来上がりに折って、スクラップかがり(束かがり)にする方法もあります。

 

・垂先・手先の中で縫う方法
垂先は約3cm~4cm、手先は約2cmの深さで表裏を縫い合わせる方法です。表地と裏地がある程度の深さで、開きます。

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呉服店によってまちまちですが、某○○加工や呉服店の名前の入ったネームタグを付ける場合、この様な仕立て方をしてタグは垂先の中央に付けます。
深く縫い合わせる方法は、垂先のみの場合もあります。また、縫い合わせるのではなく千鳥でかがる場合もあります。

 

直接持ってこられる方のご要望によって1・2の仕立て方を提案させていただいていますが、殆どの方が「どちらでもいいです」といわれます。中には2の仕立て方は、先が広がってしまうからと言われる方もみえます。地方によっても仕立て方は、様々なようです。

七五三の季節となりました。

現在、七五三の仕事が多くなってきています。加えて、振袖の仕事もちらほら入ってきています。

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◆お母さんの着物から(本断ち総絞りの着物)

7歳の娘さんを連れて、お越しくださいました。お母さんが7歳の時に着た総絞りの着物を持って来られ、お話を伺うと「私が7歳の時、とても身長が高く、長く仕立ててあり、小柄な娘の身長に合わせて腰揚げをすると、モコモコになってしまいます。重さもあり、どうしたらよいのでしょうか?」とのこと。着物を見てみると、仕立て方は四ッ身ではなく、大人用(本断ち)の仕立て方で、多分「十三詣り」で仕立て直しをして着られるように、内揚げ(身頃に摘まんである縫い代)や衽、衿にも縫い代が縫い込んでありました。

この状態で娘さんの身長に合わせ、肩腰揚げや袖揚げをすると、その摘まむ量が多く二重揚げでモコモコになってしまいます。絞りなので尚更です。「寸法直しでなんとかなりませんか?」とも提案されましたが、身丈・裄・身幅・袖丈など、ほとんどバラバラにして直すことになります。値段もほとんど仕立て直しと変わらない程になってしまいますので、全て解き、地直しをして仕立て直しをすることとなりました。今後、この着物は着ないとのことなので、軽くするためにも大四ッ身で作らせていただきました。

7歳の娘さんの身長を伺い、持ってこられた着物を家内が着せて、どのくらい長いのかを測り、娘さんの丁度よい腰揚げ・肩揚げ寸法で仕立てることができました。

着物の解き・地直し・仕立て・肩腰揚げ・紐作り付け・・・約4万円程度(生地等によって変わります)

 

◆お母さんの着物から(小紋の着物)

お祖母様、娘さん、お孫さんの3名で、お越しくださいました。娘さんが7歳の時に着た小紋の着物、長襦袢を持って、お孫さんが着られるのかどうか相談に来られました。約30年前に着たままで、小じわなど付いていました。私達が反物から仕立てる場合、着丈(着る長さ)に38cm位足して身丈(仕立てる長さ:腰揚げ前の長さ)を決めますが、お持ちいただいた着物は少々腰揚げの量が少ないものの(20数センチ)、腰揚げ位置のバランスを見て仕立てることができます。
30年前のそのままなので、一度生き洗いをしてリフレッシュしてから、揚げを行いました。

7歳のお祝いは「帯解きの儀」と言われ、肩揚げはしますが、紐付きの着物を着ず、大人の様にお端折りをして着物を着始めるお祝いの儀式です。しかし、現在では、紐を付け、腰揚げをする方がほとんどです。考えてみても、まだ7歳なので嬉しくて、跳んだり跳ねたりする頃で、着物の裾を踏んだらお端折りが出てしまい、着崩れしてしまいますよね~

今回も家内が着付けをして、正確な肩腰揚げ寸法を測り、着物と長襦袢の肩腰揚げと紐付けをさせていただきました。

※揚げの糸を取ってみると・・・・・
私達はチャコは一切使わず揚げをしますが、お持ちいただいた着物には腰揚げや肩揚げの摘まむ線を、青いチャコで標を付けて縫ってありました。蝋チャコと呼ばれるもので、繊維に浸み込んでしまいます。揚げの糸を抜き揚げ直しをすると結構目立ちます。生き洗いでは取れず、染み抜きが必要となってしまいました。

着物の生き洗い・チャコ染み抜き・肩腰揚げ・紐付け+長襦袢の肩腰揚げ・紐付け・・・約2万円程度(あくまで目安です)

 

◆3人娘の振袖

お祖母様、娘さん、お孫さん達で、お越しくださいました。娘さんが成人式に着た振袖を、お孫さん3名に着せたいとのこと。お孫さん3名は体型は同じですが、身長が少しずつ違います。「何とかなりませんか」とご相談しに来られました。家内が着付けをしたところ、体型が同じなので身幅はだいたいOKです。身丈もお端折りで何とかカバーできるほどで、大がかりな寸法直しは必要ないと判断しましたが、袖は、始めに成人式を迎える一番背の低い方が着ると、床に付いてしまったので、着物は袖丈直しをさせていただきました。

問題なのは長襦袢です。対丈で着るため一番背の低い方は裾を引きずってしまいました。身丈直しをしてしまうと一番背の高い方には、短くなってしまいますので、長襦袢の褄下あたりで、長い分を摘まんで腰揚げをしました。初めの方が着た後、腰揚げの糸を抜けば、その後の方が着られるようになっています。

着物の袖丈直し+長襦袢の袖丈直し・腰揚げ・・・1万5千円程度(あくまでも目安です)

後日談:お祖母様が後日、尋ねてこられ、私達の所に来られる前に、地元の呉服店に持って行ったところ、あれもこれも直さなければならないと、結構な値段を言われたそうです。呉服店の店員さんも着物をよく知っている方が、もういなくなってきていると感じました。

 

着物の長所は直せるところ

着物は、作り直せる衣類です。私の七五三の時に着た祝い着は、私の弟、従兄弟が着て、私の息子達が着ました。私の成人式の着物も、息子達が着ています。

七五三詣り

七五三詣り

私の家内は、従姉妹のお下がりの着物を長女・次女そして三女の私の家内が着ました。

七五三詣り

七五三詣り

日本の「衣の文化:和服」の「モノを大切にする文化」・「もったいない文化」は、まだまだ根付いています。

11月頃、神社に参拝すると、祝い着を着た子供で賑わっていますが、職業柄、既製品と誂えた着物と、ついつい比べてしまいます(^_^;)

 

 

 

 

 

都市伝説ならぬ『袴伝説』

今から30数年前、私が初めて自分の襠付き袴(馬乗り袴)を作った時に、ふと疑問に思ったことがありました。

それは、袴の後身頃、中心の縫い代を倒す方向が「きもの」の背縫いと逆であることです。

きものや長襦袢の場合、下の写真のように、裏側から見て(裾を手前にして)縫い代は右側に倒れています。

背縫い代の方向 (きもの)

背縫い代の方向
(きもの)

袴の場合は、きものなどと逆で左側に倒れています。

袴縫い代の方向

男襠付き袴縫い代の方向

襞を畳む方向にも影響していますが、普通に考えた場合、道理を通す日本という文化の中の和服は、背縫いや中心の縫い目がどれも同じ方向に倒れていてもいいんじゃあないの?って思っていました。

わざわざ逆に縫い代を倒すきものと言えば・・・・経帷子(きょうかたびら:死者に着せるきもの)で、反物から仕立てる時に、布は裂き、糸の端に玉留めはせず、返し針りや継ぎ足て縫わず、背縫いは通常の方向とは逆に倒して仕立てています。

じゃあ、なぜ、男袴は???????(?_?)

 

以前、同業者の先輩方との雑談で、同じ疑問を持っている方がみえ、他の同業者に質問をしているのを聞いてみると

「今のように安全ではない昔、袴は主に武士の衣服で、武士は不意に斬られたり、のたれ死んだり、仇討ちにあったり、いつ死んでもいいように死装束として、またそのような覚悟をして袴を付けた」とのこと・・・

 

信じるか、信じないかは あなた次第です!

羽織から名古屋帯

今まで何本も羽織から帯を仕立てていますが、今回は黒絵羽織(ポイント柄の羽織)から名古屋帯を仕立てる仕事の依頼がありました。

羽織から名古屋帯

羽織から名古屋帯

洗い張りの状態で来ましたので、まずは検品と、柄の位置などを確認し、設計図を作成します。

羽織から名古屋帯 (設計図)

羽織から名古屋帯
(設計図)

☆注意するポイントは、

  • お客様の体型で、お太鼓のポイント柄から垂先と垂境の距離、垂境から胴(手)のポイント柄までの距離、手の長さの確認。
  • 幅の確認
  • 胴回りから計算して、締めた時に継ぎ目が出てしまわないか
  • 胴(手)のポイント柄は両面に出ることが出来ない場合、お客様がいつも胴(手)を締められる方向が逆になってしまわないかどうか
    などなど、詳しくチェックします。

 

今回は、お太鼓(垂)の柄は左身頃の大きな柄を使って、胴(手)は片側によっている右身頃の小さな柄を使います。衿や袖の無地の部分は、お太鼓の裏(垂裏)や手先などに使いました。

羽織から名古屋帯 (お太鼓の柄と胴の柄)

羽織から名古屋帯
(お太鼓の柄と胴の柄)

お太鼓のポイント柄から垂先と垂境の接ぐ位置を確認し、余分な部分を裁断します。

羽織から名古屋帯

羽織から名古屋帯

その他も設計図通りに裁断し、ミシンで縫い、つなげてゆきます。

P1080089

つながったら、標付けをしますが、お太鼓の柄が右側に寄っていますので、左右の縫い代をできるだけ違えて標を付けます。

羽織から名古屋帯 (標付け)

羽織から名古屋帯
(標付け)

帯芯を入れて完成です。

P1080167

今回、5カ所継ぎ接ぎし、お仕立代は15,000円(税別、芯代別)でした。柄の位置や大きさ、接ぐ位置、好みなどによって仕立代は変動します。