先日の針供養は、雨の中、執り行われましたが、きものを着て参拝された男性の方が「羽織だけでもガード加工をした方がいいのかな?」なんておっしゃっていました。ガード加工について、私が今まで聞いたり見たり経験したことを、記載してみたいと思います。古い話もありますが・・・・・
2015年のアーカイブ
帯芯がゴロついて・・・・(袋帯の仕立て直し)
帯芯がゴロついて、プカプカして変なんですけど・・・・ と、袋帯を持ってこられました。
「俵かがり」をやってみました・八寸名古屋帯(かがり帯・袋名古屋帯)の色々な仕立て方
「俵かがり」をやってみました・八寸名古屋帯(かがり帯・袋名古屋帯)の色々な仕立て方
名古屋帯は、生地の幅によって呼び名が変わります。約36cmの幅の物を九寸名古屋帯、約30cmの幅の物を八寸名古屋帯と呼びます。
九寸名古屋帯の生地は、紬や縮緬、塩瀬羽二重などがあり、中に帯芯を入れます。それに比べ八寸名古屋帯は生地の厚い博多織や綴織りなどがあり、帯芯は入れません。耳端をかがり、仕立てます。締められる方の好みで、生地が薄い場合や厚目が良い方は、お太鼓や手の裏側に帯芯を綴じ付ける場合もあります。
◆八寸名古屋帯の仕立て方は、大きく別けて3種類あります。
1.総かがり
総かがり
お太鼓、胴(垂れ境から手先)全てをかがります。出来上がりの形は九寸名古屋帯と同じですが、耳端をかがりますので、九寸名古屋帯のように帯幅の融通はききません。
2.松葉かがり
松葉かがり
垂(お太鼓)は全部かがり、手先から約38cmかがります。胴の部分はかがっていないので、好みによって幅を変えることが出来ますが、帯地の厚みにもよりますが、幅が決まらずプカプカして浮いてしまう場合もあります。
3.トンネルかがり
トンネルかがり
垂先から20~30cm程度と、垂境から約10cmをかがり、お太鼓中心はかがりません。夏帯の絽や紗の場合に、この様な仕立て方をする場合があります。お太鼓中心は、かがっていないので、2枚の布が重なり動く様が涼しげです。手先は細く三つ折りにして、ミシンで押さえたり、くけたり、かがったりします。「2.松葉かがり」の様に手先のみ短くかがる場合もあります。
◆かがり方について
かがり方の方法として、巻きかがり・スカラップかがり・千鳥かがり・俵かがりがあります。帯地の織り方、色、などを考慮して一番目立たない方法でかがります。
巻きかがりの様子
上の写真は巻きかがりの様子です。
私は、4cmの間に38針程度でかがっています。
間隔は、帯地にもよります。
◆特殊なかがり方・俵かがり
私が和裁の世界に入った頃(今から約30年前)、綴帯の垂裏には織り止めから数10cm位(記憶は定かではありません)無地の部分が長く織ってあり、その部分の横糸を取って、かがりの糸にしました。現在ではその無地の部分が付いている綴帯は少なくなったような気がします。無地の部分から取り出した織り糸を使って、耳端を三つ編みのように、かがってゆくのが「俵かがり」または「蛇腹かがり」です。
2つの駒に糸を巻きます。特大の安全ピンで作った物です。
取り出した糸を駒に巻き、特大の安全ピンで作った物にセットし、穴に通します。写真は三つ編みの状態が分かるように、糸の色を変えてあります。
けんちょうき(懸吊機)を2台くっつけて布を張ります。(撮影のため短い布を使っています)
けんちょうき(懸吊機)2台を紐で縛り、2つの掛け張りを使って布を張ります。(撮影のため帯芯で短い布を使っています)
俵かがり
三本の糸を使ってかがります。
かがり始めは、2つの駒に巻いた糸の結び目を、布の間に入れ、かがる糸で固定します。(撮影のため、糸の色を変えています)
俵かがり
駒を返す順序を間違えないように、かがってゆきます。
私は、このくらいの間隔でかがっています。
この様に、三つ編みのかがり方が俵かがりです。実際は同色の糸でかがります。
結構、時間がかかって、目が疲れます~
本綴総かがり(俵かがり)の仕立て代は25,000円(税抜き)です。
針に感謝を込めて 2月8日は針供養
針に感謝を込めて 2月8日は針供養
2月8日は、針供養祭でした。
私が和裁の世界に入って以来30数年間、毎年名古屋市中区にある若宮八幡社へ参拝させていただいています。
今年はあいにくの雨でしたが、多くの方が参拝されていました。
針供養祭(若宮八幡社にて)
午前11時より神事が始まり、境内に雅楽が鳴り響く中、若宮八幡社の宮司の方の「針や鋏の災いなく・・・・」と祝詞を奏上されました。
祝詞奏上
神事の最後には参拝者らが、円形の豆腐やこんにゃくに使い古した針を刺し、手を合わせる姿が見受けられました。
針供養祭(27.02.08)
和裁や洋裁を仕事としている方や、お医者さん、針灸の方もお参りに来るそうです。
以前聞いた話しですが、豆腐やこんにゃくに刺した針や、供養する針は「針塚」の後ろ側に穴があり、
若宮八幡社の針塚
針塚の後ろ側
そこに入れ自然に土に還すそうですが、近頃では、プラスチックなどの玉付きの待ち針が多く使われます。プラスチックは土に還らないので、危険物で処理するのでしょうか?
◆針供養の起源
起源は定かではありませんが、針供養は、江戸時代に婦人病や安産に効験ありとする淡島神社(和歌山市加太)の信仰が広まる過程で、同社の祭神を婆利才女(はりさいじょ)とする俗説が信じられるようになり、針を扱う女性の間で次第に定着していったものとされます。明治の頃まで裁縫師匠の家では、この日に針子(裁縫の仕事をする娘 お針子)達は、晴れ着を着て集まり、米・にんじん・大根・ごぼうなどを持ち寄り、五目飯などを作り、一年の折れた針を集めておいて、五目飯とともに淡島様(淡島神社)にお供えし、針仕事の上達や針でケガをしないようにと祈願しました。
全国の針供養の謂われを見てみますと、12月8日は針に関する色々な習わしを伝える日ですが、現在では「こと始め」の日の2月8日に重ねて針供養を行っている所が多くあります。神事の暦上の意味合いも含めて、派生的に生まれた針供養は、この日に針を使うと「火にたたる」といわれ針仕事を忌み慎み、また、田の神を迎える日として田畑の労働のみならず家屋内の労働や女性の針仕事も休みました。特に針供養を行うのは、そうした機会に女性の主な作業であった針仕事に用いた折れ針を、地に埋めたり川に流したりして処分し、かねてからの感謝の意を表そうとしたものと見られます。
この様なことから、2月や12月に全国的に行われているようです。2月8日と12月8日の2回行う(京都市嵐山の法輪寺)所や、京都府城陽市にある衣縫神社では4月29日、北海道や東北、長野などでは、冬は雪深いために4月や6月に行われる所もあります。
帯にも寸法があります。(帯について その1)
帯にも寸法があります。(帯について その1)
帯について説明します。
名古屋帯を締めたところです。
帯でよく締めらている「袋帯」と「名古屋帯」の寸法です。
1.名古屋帯の寸法
名古屋帯の基本的な寸法です。
お太鼓(垂)と胴に締める境目(三角に畳んでありかんぬき留めのところ)を垂境と呼びます。そこから、お太鼓の先(垂先)までの長さを垂丈といい、垂丈は体型にかかわらず105cm~115cm位です。
特殊な方で98cmで仕立ててくださいという方もいましたが、ごくまれなケースで、この長さが一般的です。
垂境から胴に巻く部分を「手」と呼び、その長さを手丈といいます。手丈はヒップ寸法に合わせて決めます。適当に仕立ててしまうと、ふくよかな方で手先がお太鼓まで回らないといったことが起こります。
ヒップ寸法に合わせるのは、きものを着られる時に、補整をし、寸胴体型にしてきものを着られるため、体型で一番太いホップを目安にします。
おおよそヒップ85cmの方で手丈は245cm位、90cmの方で255cm位、ヒップ100cmの方は275cm位です。絞め方にもよりますが計算をして目安にしています。
名古屋帯の幅は、垂幅を約30cm、手幅を約15cmを基本とし、垂幅÷2=手幅となっています。ふくよかな方は垂幅を31cm位にしたりします。また、背の高く痩せている方は手幅のみを広くしたり、背が低くふくよかな方は、垂幅のみを広くすることも可能です。
現在、名古屋帯の生地は、総尺(布端から布端の長さ)約4.7~5m弱、幅は35cmのものが多いようですが、比較的塩瀬羽二重などの染物の名古屋帯が長めの帯地となっているようです。
2.名古屋帯の柄の位置
名古屋帯の柄の位置です。
全通柄(全体に柄があるもの)や六通柄(垂先から手の途中、無地の箇所を挟んで手先に柄があるもの)以外で、ポイント柄の名古屋帯では垂境をどこにするのかがポイントとなります。
「1.名古屋帯の寸法」の各箇所の寸法とを加味して、垂丈の長さが融通が聞くので、手丈や手の柄中心を測って垂境の位置をきめます。垂境から手柄中心までの距離は、おおよそヒップ85cmの方で51cm位、ヒップ90cmの方で54cm位、ヒップ100cmの方は59cm位です。
3.袋帯の寸法
袋帯の基本的な寸法です。
袋帯は二重太鼓に結びますので、その分垂丈が長く、その他は基本、名古屋帯と同じです。
主に端を縫ってあるものが殆どで、帯幅は30cm~31.5cm位で、近年は31cmの幅のものが多いです。
柄は名古屋帯と同様、全通柄(全体に柄があるもの)や六通柄(垂先から手の途中、無地の箇所を挟んで手先に柄があるもの)、ポイント柄のものがあります。
名古屋帯も、袋帯も、手丈がプラスマイナス10cm~15cm位は締められますが、30cmも40cmも短かったり長かったりするものは、大変締めづらい、または、締めることが出来ません。
着る当日になって「あれ?長さが足りない!」っていう方がみえますので、購入時や仕立ての際には、「この帯、締められますか?」と聞いた方が良いですね。昔の帯で極端に短い物もあります。30年ほど前の帯の並寸法では、現代の女性の体型には合わなくなってきている帯地もあります。
長さは端から端までで4.5m~4.9m位のものが多いですが、縫い代が長く付いているものもあり、織り留め(太い織り線)の位置や柄付けなど、出来上がりの長さを確認してください。また、振り袖などに変わり結びをする場合は長めの帯(出来上がり4.5m位)を選ぶと良いでしょう。
留めにも色々あります(袖付け、身八ツ口などの留め)
留めにも色々あります(袖付け、身八ツ口などの留め)
袷衣や単衣の着物・長襦袢・羽織などの袖付けや身八ツ口の留めを説明します。
※私たちが行っている仕立て方です。地域によってその呼び方、仕立て方が異なります。ご了承ください。
◆力布
袖付けや身八ツ口は着る時など力が加わるので、補強の意味もあって、私たちは、袷衣も単衣も袖付けや身八ツ口の裏側、手前と反対側に「力布」を付けています。「力布」は約0.8cm正方の小さな布で、素材は胴裏地(白色)を使いますが、絽や紗のものは透けてしまいますので、同色の物や表地の「力布」を使います。表地が絹ならば絹、麻だったら麻の「力布」を付けます。
色々な「力布」
身八ツ口(脇止まり)や袖付けなど、留めから約4cmは半返し縫いまたは縫い返し縫いで、更に補強をしています。
身八ツ口や袖付けの縫い方上の写真は分かりやすいように色を変えて縫っています。
◆かんぬき留め(虫留め)
単衣のきものや長襦袢、単衣の羽織、袷衣・単衣コートの袖付けや身八ツ口、袖口明き、名古屋帯の垂境、袴などにもにかんぬき留めをします。虫がとまっているようなので「虫留め」とも呼ばれているようです。
1.身八ツ口や袖付け、袖口明きなどに、縫い糸を2本渡します。
身八ツ口や袖付けなどに2本縫い糸を渡します。
2.渡っている2本の糸の下を針のメド(穴の空いている方)からくぐらせます。針先からくぐらせると布を引っかけてしまい、寸法を直したり洗い張りの際にかんぬき留めと一緒に布を切ってしまわないための工夫です。
2本の糸の下を針のメドからくぐらせます。
3.更に編んでゆくような感じで、糸を結んでゆきます。
糸を編む様に結んでゆきます。
4.一杯まで結んで完成です。下の写真はちょっと見づらいですが、順序よく糸が並んで結んであればOKです。
一杯まで結んで編み、かんぬき留め(虫留め)の完成です。
◆笹べり(八ツ口・人形)
笹べり(八ツ口・人形とも言われます)
婚礼用貸衣装や仕事用きものなど、かんぬき留め以上に補強する場合は上の写真の様な「笹べり」を付けます。主に袖付け、身八ツ口、袖口、男物の袖付けにも付ける場合があります。「八ツ口」とか「人形」とも呼ばれているようです。
布の性格を考えて(大島の仕立て)
先回のブログに関連した内容です。
袷着物は、表地(きもの地)・胴裏地・八掛と三種類の生地で成り立っています。
胴裏地は糸の太さ、糊の量などいろいろありますが、縮み具合はそれほど大差はありません。
八掛は染めや糸の太さ、織り方も様々で紬の八掛以外は、とても縮むものもあります。
表地は縮緬、お召し、羽二重、紬等など八掛以上に、千差万別で地直しの作業は、布の端で色々試してから行っています。
その中の紬といえば結城紬、白山紬、信州紬などありますが、大島紬は同じ紬絹織物でも織り糸の性質が違い殆ど縮みません。(布の縮み具合:参照)
大島紬を仕立てて時間が経過すると、下の写真のように胴裏地や八掛が縮んだ結果、表側がビリ付き、緩んだ状態になってしまいます。
布は縮みます(布の縮み具合)
布は縮みます(布の縮み具合)
私たちが縫っている殆どが、絹製のものです。同じ絹物でも織り方によって縮み具合が大きく違います。
例えば、大島紬の織り糸は撚りがなく、縮みません。それに対して縮緬は縮みます。
下の写真は、色無地着物でアイロンを当てただけでとても縮んでしまいました。
色無地着物の縮んだ様子
私たちは仕立てを行う前に、必ず「地直し」を行います。その方法は布地の上に綿製の当て布を広げ細かな霧を吹き、じっくり時間を掛けてアイロンを当てます。
縫っている最中やその後も生地が縮んでしまわないようにするためで、袷着物で数時間掛けて地直しをします。その後、一晩寝かせ、裁断、縫製の作業となります。
以下、どれくらい縮むのかを上記の方法でテストしてみました。(※ほんの一例です。織り方、染め方、糊の具合や製造メーカーによって違いがあります)
物差しの目盛りは1mあたりどのくらい縮んだかを示します。
大島紬は縮んでいません。
八掛は3.2cm
胴裏地は1.1cm
その他にも、測ってみました。
長襦袢地は1.8cm
絽喪服は2.5cm
帯芯は0.4cm
全て1mあたりの縮み具合です。結構、縮みますね。
※著しく幅や長さ、地の目を狂わす場合は、この方法で地直しはいたしません。寸法等を確認して、適した地直し法でアイロンを当てます。
連続する柄(柄の合わせ方1)
連続する柄(柄の合わせ方1)
大島紬の「麻の葉」柄の仕立ての依頼がありました。

反物からの仕立てです。
以下の格子・市松・亀甲など、連続した柄は出来るだけ一つの柄になるように仕立てます。

翁格子

市松

亀甲
裁断前に、身長に合わせ見積もりをし、更に後幅、前幅、衽幅から衿や袖の付く位置などに待ち針を打ち、一つずつ柄を合わせてゆきます。
一反の反物が続いていますので、やり辛いですが、慎重に位置を決めてゆきます。
着られる方の体型、柄の大きさ、反物の長さによっては、どうしても全てが一つにはなりません。
和服裁縫時の大前提として、「仕立て直しが出来ること」です。
衿肩明き以外の大きな切り込みはせず、縫い代は裁ち落としたりはしません。
寸法や体型を無視して柄を合わせることに徹底すればできますが、縫い代の深さや、その差に取り決めがあり
脇なども考慮しないと、着辛いものになってしまいます。
更に、衿が付くところや、衽付けなどは斜めに柄合わせをします。順序は背、上前(左前)の衽付けの柄合わせをし、脇の柄を確認します。
脇の縫い代の深さを測り、前身頃と後身頃の縫い代の差があまりにも多い場合には、衽付けの縫い代の量を加減します。
柄の間隔が違っている場合や斜めに付く箇所は目立つポイント箇所で合わせます。
柄が合うことが確認できたら、裁断します。和服は全く同じものがなく、大島紬などは、反物の長さが短く、裁断は慎重にならざる終えません。
裁断前の柄合わせだけで数時間、または頭をリセットする意味で、改めて翌日、なんてこともあります。
全て縫う箇所を確認しますので、ほんと、時間がかかります。

後身頃

前側(掛衿、上前衽付けの柄を合わせました。袖付けは横段を合わせました)

掛衿:剣先から少し上のポイントで合わせることが出来ました。
今回の麻の葉柄は、背の柄と、上前(左前)衽、掛け衿(共衿)の柄が合いました。
袖付けや、脇はちょっとずれてしまいましたが、これが限界でした。
体型によって柄が合わない場合がありますが、このような連続した柄は、出来るだけ柄を合わせるように心掛けています。
この大島紬の仕立て代は48,000円(税別)~ です。





































