繰越について②

・繰り越しとは

上図のように平らな場所で前身頃と後身頃の裾を合わせ、山になるところが肩山で、肩山からどれくらい深く衿が付いているかというのが繰り越し寸法です。明治時代頃までは、繰り越しは付いていなかったと言われています。

衿肩明きでもそうでしたが、繰り越し寸法も2種類の寸法表示があります。私のところでは呉服店の仕立てをする際の寸法伝票には、肩山から衿肩明きまでの距離が示されていてます。出来上がりの繰り越しの距離は衿付け縫い代(1cm強)を加えた寸法となります。(衿肩明きについてはここから)

もう一つの寸法表示は出来上がりの寸法で示す場合がありますので、出来上がり寸法か、そうではないのかを確認する必要があります。

また、下図のように衿肩明きを肩山で切り、衿付け縫い代を1cm以上深くする「付け込み」という方法もあります。

現在、女物には繰り越しを付けますが、標準体の男物や子供物には付けません。なので、下図のように繰り越し無しといっても、1cm強肩山より深く衿が付いています。

男性で肥満体の方などは、0.8cm程度から繰越を付ける場合があります。