「俵かがり」をやってみました・八寸名古屋帯(かがり帯・袋名古屋帯)の色々な仕立て方
名古屋帯は、生地の幅によって呼び名が変わります。約36cmの幅の物を九寸名古屋帯、約30cmの幅の物を八寸名古屋帯と呼びます。
九寸名古屋帯の生地は、紬や縮緬、塩瀬羽二重などがあり、中に帯芯を入れます。それに比べ八寸名古屋帯は生地の厚い博多織や綴織りなどがあり、帯芯は入れません。耳端をかがり、仕立てます。締められる方の好みで、生地が薄い場合や厚目が良い方は、お太鼓や手の裏側に帯芯を綴じ付ける場合もあります。
◆八寸名古屋帯の仕立て方は、大きく別けて3種類あります。
1.総かがり
総かがり
お太鼓、胴(垂れ境から手先)全てをかがります。出来上がりの形は九寸名古屋帯と同じですが、耳端をかがりますので、九寸名古屋帯のように帯幅の融通はききません。
2.松葉かがり
松葉かがり
垂(お太鼓)は全部かがり、手先から約38cmかがります。胴の部分はかがっていないので、好みによって幅を変えることが出来ますが、帯地の厚みにもよりますが、幅が決まらずプカプカして浮いてしまう場合もあります。
3.トンネルかがり
トンネルかがり
垂先から20~30cm程度と、垂境から約10cmをかがり、お太鼓中心はかがりません。夏帯の絽や紗の場合に、この様な仕立て方をする場合があります。お太鼓中心は、かがっていないので、2枚の布が重なり動く様が涼しげです。手先は細く三つ折りにして、ミシンで押さえたり、くけたり、かがったりします。「2.松葉かがり」の様に手先のみ短くかがる場合もあります。
◆かがり方について
かがり方の方法として、巻きかがり・スカラップかがり・千鳥かがり・俵かがりがあります。帯地の織り方、色、などを考慮して一番目立たない方法でかがります。
巻きかがりの様子
上の写真は巻きかがりの様子です。
私は、4cmの間に38針程度でかがっています。
間隔は、帯地にもよります。
◆特殊なかがり方・俵かがり
私が和裁の世界に入った頃(今から約30年前)、綴帯の垂裏には織り止めから数10cm位(記憶は定かではありません)無地の部分が長く織ってあり、その部分の横糸を取って、かがりの糸にしました。現在ではその無地の部分が付いている綴帯は少なくなったような気がします。無地の部分から取り出した織り糸を使って、耳端を三つ編みのように、かがってゆくのが「俵かがり」または「蛇腹かがり」です。
2つの駒に糸を巻きます。特大の安全ピンで作った物です。
取り出した糸を駒に巻き、特大の安全ピンで作った物にセットし、穴に通します。写真は三つ編みの状態が分かるように、糸の色を変えてあります。
けんちょうき(懸吊機)を2台くっつけて布を張ります。(撮影のため短い布を使っています)
けんちょうき(懸吊機)2台を紐で縛り、2つの掛け張りを使って布を張ります。(撮影のため帯芯で短い布を使っています)
俵かがり
三本の糸を使ってかがります。
かがり始めは、2つの駒に巻いた糸の結び目を、布の間に入れ、かがる糸で固定します。(撮影のため、糸の色を変えています)
俵かがり
駒を返す順序を間違えないように、かがってゆきます。
私は、このくらいの間隔でかがっています。
この様に、三つ編みのかがり方が俵かがりです。実際は同色の糸でかがります。
結構、時間がかかって、目が疲れます~
本綴総かがり(俵かがり)の仕立て代は25,000円(税抜き)です。