布の性格を考えて(大島の仕立て)

先回のブログに関連した内容です。

袷着物は、表地(きもの地)・胴裏地・八掛と三種類の生地で成り立っています。
胴裏地は糸の太さ、糊の量などいろいろありますが、縮み具合はそれほど大差はありません。
八掛は染めや糸の太さ、織り方も様々で紬の八掛以外は、とても縮むものもあります。
表地は縮緬、お召し、羽二重、紬等など八掛以上に、千差万別で地直しの作業は、布の端で色々試してから行っています。

その中の紬といえば結城紬、白山紬、信州紬などありますが、大島紬は同じ紬絹織物でも織り糸の性質が違い殆ど縮みません。(布の縮み具合:参照)
大島紬を仕立てて時間が経過すると、下の写真のように胴裏地や八掛が縮んだ結果、表側がビリ付き、緩んだ状態になってしまいます。

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布は縮みます(布の縮み具合)

布は縮みます(布の縮み具合)

私たちが縫っている殆どが、絹製のものです。同じ絹物でも織り方によって縮み具合が大きく違います。

例えば、大島紬の織り糸は撚りがなく、縮みません。それに対して縮緬は縮みます。

下の写真は、色無地着物でアイロンを当てただけでとても縮んでしまいました。

色無地着物の縮んだ様子

私たちは仕立てを行う前に、必ず「地直し」を行います。その方法は布地の上に綿製の当て布を広げ細かな霧を吹き、じっくり時間を掛けてアイロンを当てます。

縫っている最中やその後も生地が縮んでしまわないようにするためで、袷着物で数時間掛けて地直しをします。その後、一晩寝かせ、裁断、縫製の作業となります。

以下、どれくらい縮むのかを上記の方法でテストしてみました。(※ほんの一例です。織り方、染め方、糊の具合や製造メーカーによって違いがあります)

物差しの目盛りは1mあたりどのくらい縮んだかを示します。

大島紬は縮んでいません。

八掛は3.2cm

胴裏地は1.1cm

その他にも、測ってみました。

長襦袢地は1.8cm

絽喪服は2.5cm

帯芯は0.4cm

全て1mあたりの縮み具合です。結構、縮みますね。

※著しく幅や長さ、地の目を狂わす場合は、この方法で地直しはいたしません。寸法等を確認して、適した地直し法でアイロンを当てます。

連続する柄(柄の合わせ方1)

連続する柄(柄の合わせ方1)

大島紬の「麻の葉」柄の仕立ての依頼がありました。

反物からの仕立てです。

以下の格子・市松・亀甲など、連続した柄は出来るだけ一つの柄になるように仕立てます。

翁格子

市松

亀甲

裁断前に、身長に合わせ見積もりをし、更に後幅、前幅、衽幅から衿や袖の付く位置などに待ち針を打ち、一つずつ柄を合わせてゆきます。

一反の反物が続いていますので、やり辛いですが、慎重に位置を決めてゆきます。

着られる方の体型、柄の大きさ、反物の長さによっては、どうしても全てが一つにはなりません。

和服裁縫時の大前提として、「仕立て直しが出来ること」です。

衿肩明き以外の大きな切り込みはせず、縫い代は裁ち落としたりはしません。

寸法や体型を無視して柄を合わせることに徹底すればできますが、縫い代の深さや、その差に取り決めがあり

脇なども考慮しないと、着辛いものになってしまいます。

更に、衿が付くところや、衽付けなどは斜めに柄合わせをします。順序は背、上前(左前)の衽付けの柄合わせをし、脇の柄を確認します。

脇の縫い代の深さを測り、前身頃と後身頃の縫い代の差があまりにも多い場合には、衽付けの縫い代の量を加減します。

柄の間隔が違っている場合や斜めに付く箇所は目立つポイント箇所で合わせます。

柄が合うことが確認できたら、裁断します。和服は全く同じものがなく、大島紬などは、反物の長さが短く、裁断は慎重にならざる終えません。

裁断前の柄合わせだけで数時間、または頭をリセットする意味で、改めて翌日、なんてこともあります。

全て縫う箇所を確認しますので、ほんと、時間がかかります。

後身頃

前側(掛衿、上前衽付けの柄を合わせました。袖付けは横段を合わせました)

掛衿:剣先から少し上のポイントで合わせることが出来ました。

今回の麻の葉柄は、背の柄と、上前(左前)衽、掛け衿(共衿)の柄が合いました。

袖付けや、脇はちょっとずれてしまいましたが、これが限界でした。

体型によって柄が合わない場合がありますが、このような連続した柄は、出来るだけ柄を合わせるように心掛けています。

この大島紬の仕立て代は48,000円(税別)~ です。