連続する柄(柄の合わせ方1)
大島紬の「麻の葉」柄の仕立ての依頼がありました。
反物からの仕立てです。
以下の格子・市松・亀甲など、連続した柄は出来るだけ一つの柄になるように仕立てます。
翁格子
市松
亀甲
裁断前に、身長に合わせ見積もりをし、更に後幅、前幅、衽幅から衿や袖の付く位置などに待ち針を打ち、一つずつ柄を合わせてゆきます。
一反の反物が続いていますので、やり辛いですが、慎重に位置を決めてゆきます。
着られる方の体型、柄の大きさ、反物の長さによっては、どうしても全てが一つにはなりません。
和服裁縫時の大前提として、「仕立て直しが出来ること」です。
衿肩明き以外の大きな切り込みはせず、縫い代は裁ち落としたりはしません。
寸法や体型を無視して柄を合わせることに徹底すればできますが、縫い代の深さや、その差に取り決めがあり
脇なども考慮しないと、着辛いものになってしまいます。
更に、衿が付くところや、衽付けなどは斜めに柄合わせをします。順序は背、上前(左前)の衽付けの柄合わせをし、脇の柄を確認します。
脇の縫い代の深さを測り、前身頃と後身頃の縫い代の差があまりにも多い場合には、衽付けの縫い代の量を加減します。
柄の間隔が違っている場合や斜めに付く箇所は目立つポイント箇所で合わせます。
柄が合うことが確認できたら、裁断します。和服は全く同じものがなく、大島紬などは、反物の長さが短く、裁断は慎重にならざる終えません。
裁断前の柄合わせだけで数時間、または頭をリセットする意味で、改めて翌日、なんてこともあります。
全て縫う箇所を確認しますので、ほんと、時間がかかります。
後身頃
前側(掛衿、上前衽付けの柄を合わせました。袖付けは横段を合わせました)
掛衿:剣先から少し上のポイントで合わせることが出来ました。
今回の麻の葉柄は、背の柄と、上前(左前)衽、掛け衿(共衿)の柄が合いました。
袖付けや、脇はちょっとずれてしまいましたが、これが限界でした。
体型によって柄が合わない場合がありますが、このような連続した柄は、出来るだけ柄を合わせるように心掛けています。
この大島紬の仕立て代は48,000円(税別)~ です。