ブログ:和裁屋日記
ブログ一覧
私は、仕立て直す事を考えて、仕立てていますが・・・・

私は、仕立て直す事を考えて、仕立てていますが・・・・
4月半ばから、浴衣や単衣の仕立て依頼が来始めています。
単衣着物を数枚、持ってこられ、体型が変わり、身丈、身幅、褄下の寸法も変わってしまい、洗い張りして仕立て直しをして欲しいとのことでした。
洗い張り前の、着物を解く作業は、洗い張り屋さんに任せることもできますが、布の状態と仕立て方を見たいので、私が解きます。
ゆっくりと糸を抜きながら解いてみると、、、、、
なんと~ 前身頃の衽付け側の縫い代が切り落としてあります。身幅を広く仕立て直しをしますが、この状態ではこれ以上、広くできませんね。
そして、衽の褄先、単衣の場合は「額縁」と呼ばれている箇所ですが、ここも縫い代が切り落とされています~
以前のブログ(寸法直しが難しい事例:脇縫い代の切り込み)にも書きましたが、縫い代が何枚か重なって厚くなるために、仕立てにくい箇所で、縫い代を切り落とす事で、仕立てやすく、裾のくけ幅をすっきり見せるためです。
今回は、幸いにも内揚げがあり、切り落としてある部分に合わせて裾を切っても、身丈は出来ますが、こんな事をやっていたら、どんどん布丈が短くなってしまいますね。
地方や流派?(あるような、無いような)でいろいろな仕立て方がありますが、私には、チョット解せないですね~
和服は、仕立て直すことを前提に、仕立てます。例外として浴衣(特に真岡のみ・綿紅梅等高級浴衣地は別)は、反物の長さが短い事や綿製なので、内揚げ(身頃の胴で摘まんである縫い代)を取らず、あまり作り直すことを考えず、仕立てます。
お祖母様の名古屋帯を仕立て直し

お祖母様の名古屋帯を仕立て直し
お客様から「名古屋帯を長くできませんか?」と、メールをいただきました。内容を詳しく尋ねたところ、お祖母様が若い頃締めていた名古屋帯です。黒地に刺繍の草花があしらってあり、とても柄が気に入って締めてみたところ、お腹の柄(胴の柄)がうまく出ないのと、手(胴に巻く部分)が短いとのことでした。「丁度良い締めやすい帯を一緒に送っていただけたら、寸法を確認し、見積もりいたします。」とお返事したところ、お客様から早速送られてきました。
まずは、ポイントとなる各部分の長さを測ってみると・・・・・・
お太鼓の長さは、丁度良い長さですが、やはり垂境(三角になっているところ)から胴の柄までの距離と手丈が短いです。
名古屋帯の基本的な寸法です。
名古屋帯の柄の位置です。
垂境から胴の柄までの距離は、現在の名古屋帯では約57cm位ありますが、この帯は約45cm。昔の物ですので、短くできています。手丈は約224cmで、現在の並寸法は約260cm前後のものが多いので40cm近く短くできています。ちなみに戦中、戦後の物資が足らない時代は、お腹に一重しか巻けない名古屋帯があったそうです。
そして、今では殆ど仕立てられることがないポケット口が付いていました。手先の方に袋状に開いている物で、小物を入れるポケットではなく、帯板を入れるためのポケット口です。
このポケット口は、体型にもよりますが、手先から中心まで約110cmの所に開けます。
(一社)日本和裁士会編
新版和服裁縫下巻より
そして、生地の状態をよく見てみると・・・・・
角は、擦れて薄くなっていたり、
垂先の、摘まんで縫ってある部分も、陽にかざしてみると薄くなっています。
とても古い物は、触っただけでポロポロと生地が裂けてしまうものもありますが、今回の生地はそこまで劣化はしていません。でも、耳に切り込みが入っていて、もしかしたら、締めている最中に力が加わると裂けてしまう恐れがあります。
お客様に、この状態を説明し、全面に薄い接着芯を貼ることを提案させていただきました。
しっかりと生地のよれをアイロンで直し、垂先を直角に置き、布幅に裁断した接着芯を貼ってゆきます。
次に、寸法の足らない部分の2箇所に、帯布を継ぎ足します。
後は、いつも通りに仕立ててゆきます。
私たちが仕立てた物には他の仕立て屋さんが見ても分かるように、仕立てた内容、寸法などを記入したものを付けてお客様へお渡ししています。
今回の仕立て代は、
・解き・簡易地のし
・接着芯等
・継ぎ足し布等
・帯芯
・仕立て
など合計25,000円程度でした。
昔の生地は、しっかりとした良い物もあります。仕立て直しで蘇ることもできますよ。
こんなアプリ、見つけました。

帯の仕立て直しをしていて思うこと

帯の仕立て直しをしていて思うこと
帯の仕立て直しの依頼も承っています。
時間が経つと、表と裏のつり合いが悪くなったり、帯芯が縮んだりしますので、一度全て解いて、染み抜きや洗い張りをして仕立て直しをます。(過去の袋帯仕立て直しブログはこちらをクリック)
もちろん、帯芯も解き、新しい帯芯に交換しますが、原則、付いていた物は全てお客様にお返しします。古い帯芯をお返ししたところ「こんなにカビていたの~」と仰られる方が殆どです。着物の裏地は、広げて見れば分かりますが、袋帯や名古屋帯などは中に帯芯が入っていて見えないので、分かりませんよね。でも、意外とカビています。
下の写真は、一世代時間が経っていて、お母様が成人式の時に締めた袋帯の帯芯です。
綴じてあった糸は切れてしまって、所々帯芯がずれてシワだらけですね。
もちろん、新品の帯芯は真っ白で、「防カビ」とか施してあるものが多いです。
また、お祖母様が若い時に締められていた名古屋帯の帯芯。二世代の時間が経っています。
最近の袋帯は、端縫いの糸に化繊の糸が使われています。とても細く切れにくいのが特徴ですが、果たして時間が経った時、絹物の帯地に対して優しいのか疑問です。糸が先に切れれば、帯地は傷つかないでしょうけど、しかし、糸が切れず、部分的に力が加わったら布は裂けてしまいます。
師匠や先輩方から教えられ続けていますが、この様な理由から絹物は絹糸で縫っています。これも、布を大切にする日本人の智恵ですね。
うーん なんだったっけ「袂○○」

うーん なんだったっけ「袂○○」
先日、単衣の仕立て直しの依頼があり、袖を解いている時に、袂の裏側にホコリが溜まっていました。
袂(たもと)とは、袖の丸くなっているところで、「袖丸み」とか簡単に「丸み」とか言います。
今から2,3年前に和裁組合で同席した方と、話の流れで「あっ、そうそう、袂に溜まるホコリって知っていますか?」と聞かれ、私は知らなかったので「なんて言うの?」と聞き返した記憶があり、袖を解いている最中に思い出し、
「なんて言ったっけ?・・袂ゴミ・・・袂埃??・・・・袂垢?? うーん・・・・・・思い出せない・・」
と、思いながら、残りの部分を解いていました。
自宅に帰って、早速、本棚のオブジェになっている辞典「大辞泉」をぱらぱらめくっていると、ありました!
袂糞(たもとくそ):たもとの底にたまるごみ。(小学館「大辞泉」より)
もうちょっと、和風で粋なネーミングかと思っていました。やっぱり、「溜まってきたら取らないといけないョ!」というような、ネーミングですね。勉強になりました。まだまだ、知らないことだらけです。
袂糞(たもとくそ)


























