留めにも色々あります(袖付け、身八ツ口などの留め)
袷衣や単衣の着物・長襦袢・羽織などの袖付けや身八ツ口の留めを説明します。
※私たちが行っている仕立て方です。地域によってその呼び方、仕立て方が異なります。ご了承ください。
◆力布
袖付けや身八ツ口は着る時など力が加わるので、補強の意味もあって、私たちは、袷衣も単衣も袖付けや身八ツ口の裏側、手前と反対側に「力布」を付けています。「力布」は約0.8cm正方の小さな布で、素材は胴裏地(白色)を使いますが、絽や紗のものは透けてしまいますので、同色の物や表地の「力布」を使います。表地が絹ならば絹、麻だったら麻の「力布」を付けます。
色々な「力布」
身八ツ口(脇止まり)や袖付けなど、留めから約4cmは半返し縫いまたは縫い返し縫いで、更に補強をしています。
身八ツ口や袖付けの縫い方上の写真は分かりやすいように色を変えて縫っています。
◆かんぬき留め(虫留め)
単衣のきものや長襦袢、単衣の羽織、袷衣・単衣コートの袖付けや身八ツ口、袖口明き、名古屋帯の垂境、袴などにもにかんぬき留めをします。虫がとまっているようなので「虫留め」とも呼ばれているようです。
1.身八ツ口や袖付け、袖口明きなどに、縫い糸を2本渡します。
身八ツ口や袖付けなどに2本縫い糸を渡します。
2.渡っている2本の糸の下を針のメド(穴の空いている方)からくぐらせます。針先からくぐらせると布を引っかけてしまい、寸法を直したり洗い張りの際にかんぬき留めと一緒に布を切ってしまわないための工夫です。
2本の糸の下を針のメドからくぐらせます。
3.更に編んでゆくような感じで、糸を結んでゆきます。
糸を編む様に結んでゆきます。
4.一杯まで結んで完成です。下の写真はちょっと見づらいですが、順序よく糸が並んで結んであればOKです。
一杯まで結んで編み、かんぬき留め(虫留め)の完成です。
◆笹べり(八ツ口・人形)
笹べり(八ツ口・人形とも言われます)
婚礼用貸衣装や仕事用きものなど、かんぬき留め以上に補強する場合は上の写真の様な「笹べり」を付けます。主に袖付け、身八ツ口、袖口、男物の袖付けにも付ける場合があります。「八ツ口」とか「人形」とも呼ばれているようです。