・男物の袖
男物の袖丈は女物より少々短く、身長160cmの方で49cm(1尺3寸)位、170cmの方で51cm(1尺3寸5分)位、180cmの方では53cm(1尺4寸)位を目安にしています。丸みは2cmのものが多いです。女物の袖と違うところは男性の方が手が大きいため袖口明きが大きく明いています。(女物約23cm:6寸・男物約26.5cm:7寸)また、袖付けが長く振りがありません。(お端折りがないため身八ツ口もありません)
ちなみに、男物羽織の袖は、下の写真の様に詰め人形もなく、袖付けが袖底(袖下)まであるので、寸法は袖丈=袖付けです。
・元禄袖(げんろくそで)
女物着物の袖で大きく丸み(10~15cm:2寸5分~4寸)を付けたものです。
元禄時代は戦国時代の重苦しい生活からようやく抜け出し、町人経済が発展し和服は派手になっていった時代でした。女性の着物の着方や形の変化に大きな変化が起こり、軽い華美なものを着るようになり、角張った袖から大きく丸みを付けた柔らかな感じの袖が流行し、元禄時代にできたのでその名があります。その頃の袖丈は40~45cmくらいでしたが、袖に大きな丸みを付けたり、袖丈を長くする着物も作られ、元禄時代(17世紀)には60cm位、文化文政(19世紀)頃には90cm位になり、後に振袖へと発展するもとができはじめます。更に華美なものとなる原因となったのが、帯の幅が広くなり、お端折りをするようになり、着用方の変化により身八ッ口・振りが付くようになり、着物の形が大きく変化し、元禄袖や振袖が生まれました。
今では袖丈にもよりますが、イメージとして大きな丸みを付けた袖を元禄袖と言っています。(後に出て来る「現代袖」と袖丈が多少違いますが、似ています)
参考資料
- 「知っておきたい和裁の知識」日本和裁士会編著
- 「日本和裁新聞」日本和裁士会発刊
- 「和裁教科書全巻」日本和裁士会発行
- 「わさい」愛知県和裁教授連盟発行
- 「新和裁全書」金園社発行