布は縮みます(布の縮み具合)
私たちが縫っている殆どが、絹製のものです。同じ絹物でも織り方によって縮み具合が大きく違います。
例えば、大島紬の織り糸は撚りがなく、縮みません。それに対して縮緬は縮みます。
下の写真は、色無地着物でアイロンを当てただけでとても縮んでしまいました。
色無地着物の縮んだ様子
私たちは仕立てを行う前に、必ず「地直し」を行います。その方法は布地の上に綿製の当て布を広げ細かな霧を吹き、じっくり時間を掛けてアイロンを当てます。
縫っている最中やその後も生地が縮んでしまわないようにするためで、袷着物で数時間掛けて地直しをします。その後、一晩寝かせ、裁断、縫製の作業となります。
以下、どれくらい縮むのかを上記の方法でテストしてみました。(※ほんの一例です。織り方、染め方、糊の具合や製造メーカーによって違いがあります)
物差しの目盛りは1mあたりどのくらい縮んだかを示します。
大島紬は縮んでいません。
八掛は3.2cm
胴裏地は1.1cm
その他にも、測ってみました。
長襦袢地は1.8cm
絽喪服は2.5cm
帯芯は0.4cm
全て1mあたりの縮み具合です。結構、縮みますね。
※著しく幅や長さ、地の目を狂わす場合は、この方法で地直しはいたしません。寸法等を確認して、適した地直し法でアイロンを当てます。