帯の仕立て直しをしていて思うこと
帯の仕立て直しの依頼も承っています。
時間が経つと、表と裏のつり合いが悪くなったり、帯芯が縮んだりしますので、一度全て解いて、染み抜きや洗い張りをして仕立て直しをます。(過去の袋帯仕立て直しブログはこちらをクリック)
もちろん、帯芯も解き、新しい帯芯に交換しますが、原則、付いていた物は全てお客様にお返しします。古い帯芯をお返ししたところ「こんなにカビていたの~」と仰られる方が殆どです。着物の裏地は、広げて見れば分かりますが、袋帯や名古屋帯などは中に帯芯が入っていて見えないので、分かりませんよね。でも、意外とカビています。
下の写真は、一世代時間が経っていて、お母様が成人式の時に締めた袋帯の帯芯です。
綴じてあった糸は切れてしまって、所々帯芯がずれてシワだらけですね。
もちろん、新品の帯芯は真っ白で、「防カビ」とか施してあるものが多いです。
また、お祖母様が若い時に締められていた名古屋帯の帯芯。二世代の時間が経っています。
最近の袋帯は、端縫いの糸に化繊の糸が使われています。とても細く切れにくいのが特徴ですが、果たして時間が経った時、絹物の帯地に対して優しいのか疑問です。糸が先に切れれば、帯地は傷つかないでしょうけど、しかし、糸が切れず、部分的に力が加わったら布は裂けてしまいます。
師匠や先輩方から教えられ続けていますが、この様な理由から絹物は絹糸で縫っています。これも、布を大切にする日本人の智恵ですね。