元々の和服は現在の狂言衣装等に見られるように、振りも身八ッ口もなく、身頃と袖は縫い付けられていました。

小袖が衣服の中心でした。
その後、振りの付いた袖を付けるようになり、振り付きのものの総称を「振袖」といいました。室町時代には存在したようで、主に子供が着用するもので、袖丈は現在のように長くなかったようです。時代ファッションの変化と共に、女性は帯を高く絞めるようになり、振りや身八ッ口が付き、お端折りをするようになり、若い女性が長い袖丈の振袖を着るようになったのは江戸時代からとされ、子供から娘時代までの外出着となりました。現在では二枚重ね(振袖と振袖の形をした下着を重ねて着ます)にして結婚式のお色直し、未婚婦人の礼装用きものとして用いられています。今から40年ほど前の昭和末期では、留袖の付け比翼のように振袖にも付け比翼を付けたものもありました。

現在、ご存じのように振袖は振りが開いていて袖の長いきものをいいます。未婚者の礼装・盛装用としてのきもので、裾回し(八掛)は共の生地または別の生地を使用することもあります。主に絵羽模様(背縫いや脇縫いなど縫い目にわたって柄が続くもの)です。
上前衽(左衽)から脇、背にわたって柄が流れ、掛け衿から胸元、袖付けへと柄が続くものや、全て柄が合うものもあります。一方で色無地の振袖もあります。(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)


袖は、本振袖(大振袖)・中振袖・小振袖があり、一番袖丈が長いのは本振袖(大振袖)で袖丈が約115cm(3尺)以上のもを指します。中振袖の袖丈は90cm~100cm位のもので、小振袖は身長の1/2を目安にして80cm位のものです。
