浴衣の仕立ても、やってます!

この地方も、遂に真夏日となる気温となりました。そろそろ浴衣の季節がやってきました。

既製品の浴衣は安価でお買い求めやすいですが、仕立て屋さんに持ってくれば、体型に合わせた寸法で仕立てることができ、また、反物の幅や長さによっては制限がありますが、お好みの柄合せなどが出来ます。

例えば、連続した「立涌」柄のものは、「立涌」の横段を合わせたり、

袖丈や袖袂丸(袖丸み)の大きさを年齢や柄の大きさのよって変えることも出来ます。

居敷当ては、小さく付けるものや

腰から裾までの居敷当てもあります。

本来浴衣はバチ衿ですが、広衿に仕立てることも出来ます。

また、袖付けや身八ッ口に、補強の意味で「八ッ口留め(笹べり)」を付ける事も可能です。

いろんなバリエーションがありますので、ご相談ください。

以前、着物好きな方々が、有松絞りで「雪花絞り」の体験で反物を染め、何人かの方が持ってこられ仕立てをさせていただきました。それぞれの体型に合わせて、寸法を決め、できる限りではありますが、柄合わせをさせていただきました。

柄合わせのポイントは、背の柄、上前(左前)の衽付けや、掛け衿(胸元)、袖付け等です。

・背の柄合わせ

・上前(左前)衽付けの柄合わせ

・掛け衿(胸元)の柄合わせ

・袖付けの柄合わせ

体型によっては、出来るだけとなりますが、浴衣でも、できる限り柄合わせをするようにしています。

今でも残る和服の鯨尺

戦後、日本では世界基準に合わせて、長さでは尺、重さでは貫など昔から使われていた単位:尺貫法が廃止され計量法(メートル法表示)に切り替えられました。以後、公式な書面等では尺貫法での表記は禁止となり、使うと罰金の対象となっています。 しかしながら、木造の住宅建築などではいまだに広く使われています。和裁も同様で・・・・

親が和服裁縫業を営んでいたにもかかわらず、私は着物のことも寸法もちんぷんかんぷんのまま、40数年前に名古屋で修行を始めました。今でも、呉服店では和服仕立ての伝票には鯨尺(くじらじゃく)で表されていますが、修業先ではセンチメートルで仕立てていました。入所当時は、呉服店の伝票寸法の鯨寸法からセンチメートルに換算表を見ながら自分の寸法票に書き写していました。
慣れてくると、いつもの寸法は、換算表を見ずに寸法票にcmで記入出来るようになります。例えば女物きものの袖口は殆どの場合6寸と決まっていますが、センチメートルでは22.7cm、袖丈1尺3寸は49.2cmというように覚えてしまいます。

○決まっていた並寸法
尾張地方の昔、女物きものの並寸法といえば、
身丈4尺(151.5cm)
裄1尺6寸5分(62.5cm)
袖幅8寸5分(32.2cm)
後幅7寸5分(28.4cm)
前幅6寸(22.7cm)
褄下2尺(75.8cm)
繰越5分(1.8cm)
といった具合に決まっていました。(上記の寸法は女性で身長150cm、ヒップが90cm位の方でしょうか)

昔、三河出身の徳川家康とその家臣達は、江戸にその寸法を持ち込んだため、尾張から江戸にかけての関東圏では並寸法が後幅7寸5分、前幅6寸でした。一方京都大阪を中心とする関西圏では、女物並寸法は尾張三河より広く、後幅が8寸になっていました。上方は何でも豪華で贅沢な傾向にあったようです。
今では、オーダーメイドの仕立てなどではヒップやバストなどから細かく割り出す方法で縫製しています。

○メリット・デメリット
センチメートルのメリットは、最小メモリが1mmで細かな寸法が表現できることです。鯨の最小メモリは1分で約4mm。5mmの表現は、1分強としか表現できません。

一方、鯨のメリットは、年を取ってきて分かったのですが、1mmのメモリが見辛くなり、1分の方がはっきり見えるといったところでしょうか。私は、ケースバイケースで両方を使っています。

尾張はけちくさい?
関西圏は何かと豪華ということですが、昔は赤ちゃんの着物から、そうであったようです。生まれてから、初めて氏神様に参拝するお宮詣り。その時に着る宮参り初着(うぶぎ)は、尾張三河地方は布を節約して、一ッ身と決まっていますが、関西圏では布を多く使う四ッ身が主流だそうです。
畳みの大きさでも広いのは関西間、中くらいの広さは中京間、関東間といった順になります。畳の縁(へり)1つ分くらい違うそうです。現在では、極端なことは出来ませんが、アパートや建て売り住宅で、ちょっと狭くても「この部屋は○畳にしてくれ」といわれると、等分して作ってしまう場合もあるそうです。


そんな尾張三河人はけちくさいかもしれませんが、日頃は倹約して、お金を使うときには、ぱーっと使います。とくに尾張名古屋地方は、結婚には旦那が新居を建て(器を持ち)、中身(家電や家具)は嫁さん持ちといわれ、新居に荷物を入れる際には、新婦の実家から新婦の実家から何台かのトラックに家具や家電を載せ、紅白の幕を掛けて運びました。何台のトラックか?が、ステイタスでした。結婚式当日には、近所に人を集めて、縁側で花嫁姿を披露し、菓子撒きをしてから式場へと向かいました。

あけましておめでとうございます

和服が大好きな皆さま

昨年は、大変お世話になりました。

今年も皆さまが和服を着てHAPPYになる

お手伝いができる和服作りを目指します。

本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

2025年1月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster

紅葉筏?

先日、長野方面へ紅葉を見に行きました。小高い場所のお城跡に紅葉が点々と植えられていました。お堀にかかっている橋から下を見ると、びっしり真っ赤な落ち葉が敷き詰められていました。


春には川や池の水面に桜の花びらがびっしりと浮いている様子を「花筏」と表現します。きものの柄でも「花筏」という文様は、水面に散った花がひとかたまりになって流れてゆく様子を筏に見立てたものや、桜や菊などの折り枝を筏に乗せた文様のことを言います。


では、赤や黄色の落ち葉がびっしりとある様子は「もみじ筏」って言うのかな?と、疑問が涌いてきました。

文様の本で調べてみましたが、「紅葉筏」とか「もみじ筏」、「かえで筏」ということばは出ていませんでした。似たような文様では

  • 楓文(かえでもん)
    色づく前の青色の葉の場合は青楓・楓文といいます。
  • 紅葉文(もみじもん)
    楓の葉が赤や黄色、茶色に色づいた物を図案化したもの
  • 楓樹(かえでき)
    楓の木が風にたなびく様子を表現した文様です。
  • 流水に紅葉
    色づいた紅葉の落ち葉が川を流れていく様子を図案化したもの
  • 龍田川(たつたがわ)
    流水に紅葉をちらした文様は、またの名を龍田川ともいいます。奈良県の生駒山地を流れる龍田川は、紅葉の名所の一つで、文様とされたのは古今和歌集が由来とされています。
  • 紅葉格子(もみじごうし)
    紅葉の枝を行使に見立て図案化したもの
  • 光琳紅葉(こうりんもみじ)
    江戸中期の画家尾形光琳の作風の文様で、優しい曲線で描かれた紅葉の柄です。他に、光琳梅・光琳菊・光琳松などがあります。

で、最終手段でスマホで検索したら、
俳句の世界では季語として「紅葉筏」「紅葉の筏」「紅葉の川」というのがあるそうです。


他に「紅葉筏」でヒットしたものは和服というか、衣装というか・・・安土桃山時代の物で「角帽子 鶸色地紅葉筏模様:すみぼうし ひわいろもみじいかだもよう」が東京国立博物館の所蔵されています。柄は筏の上部に紅葉が舞っている様子の文様です。

ことばとしては「紅葉筏」はありますが、和服の柄では「紅葉筏」は無いようで、「龍田川」や「流水に紅葉」といった文様などに取って代わっているように思えます。圧倒的に桜の「花筏」が多いように思えます。
※参考書籍:きものの文様(全日本きもの振興会推薦・藤井健三氏監修)

愛知県豊田市小原地区では、11月下旬から12月上旬に花が咲く四季桜が有名です。山野斜面には紅葉の赤と桜の薄ピンクを同時に楽しめる箇所が地区一帯にあるます。この場合、水面に漂う桜の花びらと落ち葉紅葉は「紅葉花筏」といったところでしょうか??

2024年12月6日 | カテゴリー : きもの | 投稿者 : wpmaster

ころもへんの漢字

国内の政治は自民党総裁選挙の話題が多くなり、慌ただしくなってきました。総裁選には十数名の方が立候補していますが、何よりも国民にわかりやすい政治を行ってほしいものです。

その「総裁」には和裁の「裁」と言う漢字が使われています。裁の読み方はサイ、裁つ(たつ)とか裁く(さばく)です。

「裁つ」とは衣服を仕立てるために長い布地を適当に切ることや、布地を切って衣服に仕立てるという意味で、「裁断」とか「裁縫」というように使われています。私の仕事、和裁は和服裁縫、洋裁は洋服裁縫という意味です。

「裁判」で使われている「裁く」では、善し悪しの区別をはっきり決めるという意味。「総裁」に使われている「裁」は物事をきりもりする、また、きりもりする役のことを言います。

他には

  • さえぎる。適当なところで切る。また、ほどよく決める。文章や言葉を適切にあんばいすることで、「裁量」という熟語に使われています。
  • 適当にカットしてきめた形のこと。「体裁」
  • わずかに、はじめて、やっと 

という意味もあるそうです。

「裁」を漢字辞典で調べるのには、「ころもへん」で調べます。当たり前ですが、衣服や被服に関する漢字がいっぱい出てきます。

・衫(さん)=単衣・薄物 

衫を使った和服では「軽衫:かるさん」があります。袴の一種で中世末に来日したポルトガル人のズボンをまねたもので裁付袴とも言われています。大相撲の呼び出しさんらが履いている袴です。

・衿(えり) 和裁では襟ではなく衿を使います。

その他、和裁の試験や和裁の仕事で目に付く「ころも」が付く漢字ですが、読めますか??一度調べてみるのもいいかも。

  • 衵=中古の衣服
  • 袢=長襦袢の袢
  • 裃=遠山の金さんが最後に着ている和服上下
  • 袈裟=僧侶の衣服
  • 袿=中世
  • 褌=愛知県国府宮裸祭の衣装

参考資料

  • 学研「漢字源」
  • コトバンク
  • (一社)日本和裁士会編「遠山庫太郎 遺作集」

パリオリンピックが終わりました。

8月11日にパリオリンピックが閉会しました。日本は獲得金メダル20個で海外オリンピックでは過去最多数、アメリカ・中国に次いで3位でした。私の家で盛り上がって見ていたのは、バレーボールや卓球でした。手に汗握る試合展開!もう少し、あと一点というところで惜敗してしまいました。他に気になって見ていたのは柔道です。日本のお家芸とも言われていて、何個の金メダルが取れるかと期待が大きかった種目でした。

そこで気になったのは、柔道着の着方ですが、和服と同じ右衿を先に、左衿を後に着る着方「右前」です。でも洋服は、男女で衿の打ち合わせが違います。外国の柔道選手で「着方なんか関係ないじゃん!」という方はいなかったのかな?対戦選手の利き手によって衿の打ち合わせを変えれば、組み方で有利になるとも思います。で、調べてみたら、一橋大学体育会柔道部のHPに掲載されていました。以下要約しますと

「1996年アトランタオリンピックで田村亮子選手が決勝で当時無名の北朝鮮選手に負けてしまいました。この北朝鮮選手は柔道着を「左前」に着るという奇策に出ることで、組み手争いを優位に進め勝利しました。この件を受け、国際ルールには「右前」に着ることが明文化されました。」とあります。

では、日本ではいつから「右前」に着るようになったのでしょうか。大陸の文化の影響があった古墳時代後期では、埴輪に見られるように「左衽着装法」(さじん)といって男女とも現在の逆の「左前」に衿を合わせていました。

奈良時代となり養老3年(719年)元正天皇が「衣服令」を発令。衿は右を先に合わせる「右衽着装法」(うじん)が用いられるようになり今日に至ります。

私達、仕立屋では左前の部分を上前といいます。例えば上前身頃=左前身頃、上前衽=左衽、上前衿=左の衿というように使い、逆の右前側の部分を下側に着ることから下前と言います。後側は、右後身頃・左後身頃と呼んでいます。この「右前」にすることによって、左側の身頃を引っ張って着ることから、背縫い縫い代(被:きせ)は左身頃側に倒すようになったと聞いています。

また、死装束では生の逆の死であって、生きている人の着方の逆「左前」に着せ、仕立て方も背縫いは右身頃に倒し、縁を裂くという意味で裁断は鋏を使わず、布を裂きます。縫い方は、留める・結ぶ・重ねる・戻るといった意味を嫌い、糸端の玉留め、糸を結ぶ、返し針、縫い重ね、などはせず、縫いっぱなしで作ると言われています。

お昼の情報番組で、どこかのグルメイベントの中継がありました。リポーターの方は浴衣を着ていましたが、襟元ははだけ、裄が長く、幅も合っていなく、だいぶ大きめな感じでした。来場者にインタビューをする場面で小っちゃい子供を連れた3人家族の母親も浴衣を着ていましたが、衿合わせが逆。知らないというのは恐ろしいです。テレビ中継でこんな事を度々、目にする事がありますが、番組の現地ディレクターとか誰か一声掛けることは出来なかったのかと思います。

柔道では、柔道着の着方、裄や丈などのサイズまでルールとして明記されています。一般の方のきものの着方には柔道のようなルールや罰則はありませんが、日本人ならば、日本文化のきものの着方は、知っておいてほしいです。

参考書籍:きもの文化検定公式教本Ⅱ

いろんな幅でも、きものが出来ます。2

先回説明した様々な幅の生地を使って、女物きものを仕立てる場合、どのくらい長さが必要か計算してみました。

標準とした体型は、身長155cmでヒップ95cm位の普通体系です。袖丈は50cmで縫い代を4cmとし、身頃は繰越3cm、縫い代は4cmとしました。(内揚げは殆どない状態です)柄などによって、各パーツの位置を移動する場合や、衿など工夫する部分もありますので、注意して下さい。また、後々、縮んだりして直すことを考える場合は、身頃には内揚げを入れ、内揚げの量と同等の縫い代を衽や衿などに入れておきましょう。

※布幅によっては、裄や身幅が出来ない場合がありますので注意して下さい。

1.小幅物(並幅物)

幅36~40cm位  長さ12m~  通常の裁断方法です。

2.小幅物(並幅物)

幅36~40cm位 長さ約11m

長さが不足している場合かぎ衽裁ち:両面物(うば衽裁ち:片面物)にします。

衿は摘まむなどして掛衿とし、摘まみ代に別布を挟み込むなどします。

3.大幅物(広幅物)幅70~80cm  長さ6.2m~

4. 大幅物(広幅物)幅70~80cm  長さ6m~

5.ヤール幅 幅90cm位(裄、身幅に制約あり) 長さ4.4m

6. ヤール幅 幅90cm位(裄、身幅に制約あり) 長さ4.6m

※衿を継ぎ足すので工夫が必要

7.普通幅 幅120cm 長さ4.4m(残布が出ます)

8.ダブル幅 幅150cm  長さ2.4m(残布が出ます)

洋服生地などできものを作る場合、裁ち目の処理や裁ち合わせの複雑さがネックですね。やはり和服生地の幅はきものを仕立てるのに合理的な幅になっています。きものを仕立てる場合「縫い代は一切裁ち落とさない」が大原則ですのが、最近の40cm以上の布幅で、痩せている方のきものを作る場合、作り辛いことがあります。お相撲さんのきものを作る場合は、同じ反物を2反用意してもらって、脇や袖付けに足し布をします。その方が合理的と考えられています。
参考資料:新版和服裁縫上巻(社団法人日本和裁士会)

いろんな幅でも、きものが出来ます。

 最近、和服の反物以外の生地、手芸店で売られている生地での仕立てが続いてありました。110cm幅の麻と綿の混紡で単衣の着物を、115cm幅の縦縞プリント柄でお祭り用の袴を仕立てました。


帯以外で、きもの等の生地(反物)の幅は、私が和裁の勉強をしはじめた40年ほど前では36cm程でした。その後、ウールアンサンブル生地でキングサイズやクイーンサイズといった少々広めの物が登場し、現在では40cm幅を越える物もあります。私達ではそれらの幅の物を小幅物(並幅物)といい、小幅物の倍の幅の物を広幅物(大幅物)といっています。大幅物は主に裏地(胴裏地)や居敷当て・男物長襦袢や男物羽織裏(額裏)などに使われています。きものなどの生地ではこの2種類の幅の反物を使っています。


和服生地以外で、手芸店には様々な幅の物が販売されています。普通幅として110~120cm幅の物や、ゴルフで距離を示すヤードからきているヤール幅は91cmまたは96cmです。

シングル幅は、28インチの71cm幅の物と36インチ92cmの物があります。また、カーテンやベッドカバーなどに使われるワイド幅やダブル幅は140cm~180cmです。


これらの生地を使ってきものを仕立てる場合、衿などを工夫することが必要です。また、余分な残り布が出てしまう幅の物もあります。

次回は、これらの幅の物を使って女物きものの裁断図を説明します。

帯について⑩(八寸名古屋帯)

名古屋帯の仲間で、八寸名古屋帯(かがり帯・袋名古屋帯)と呼ばれている帯があります。
布幅が30~31cmで綴織・博多織・絽・絽綴・紗・紬などの名古屋帯地で、耳端を合わせてかがります。

生地が柔らかい場合には、好みによって垂のみに垂裏側に帯芯を綴じ付けて入れます。ポイント柄の距離や長さは、先回の名古屋帯と一緒です。八寸帯の垂先は、ほとんどの場合、「わ」のままにし、織り留め(かいきり線)を合わせる方法です。先回の名古屋帯と同様、全体の各寸法バランスをよく確認して垂先を決めることが肝要です。かがる方法は主に以下の3種類です。

・巻きかがり

巻きかがり

・スカラップかがり

スカラップかがり


・俵(蛇腹)かがりかがる箇所は主に以下の3種類です。

俵かがり

・総かがり(全かがり)
垂と手と全部かがります。堅い帯など、手の部分を二つ折りにしにくい帯は総かがりがおすすめですが、好みで手幅を太くすることはできません。

全かがり

松葉かがり
垂は全部、手先から38cm位かがります。胴に巻く部分はお好みで太くできます。

松葉かがり

垂境には、千鳥かがりをします。

千鳥かがり

帛紗かがり(夏かがり・トンネルかがり)
垂先から20cm位、垂境は10cm位かがり、手先は細く三つ折りにしてスカラップかがりをします。手全体をお好みの幅に二つ折りにして締めることができます。

帛紗かがり
2024年4月12日 | カテゴリー : | 投稿者 : 和裁屋

帯について⑨(形を変える名古屋帯)

今回は、名古屋帯の仕立て方を紹介します。

・松葉仕立て
開き名古屋帯の手先38cm位を二つ折りに縫い合わせた帯です。胴に巻く部分はお好みの幅に折って締めることができます。手の裏側は、裏地を付けるか、縫い代を直接帯芯に綴じ付ける方法があります。

・京袋帯
長さと幅は開き名古屋と同じです。京袋帯も一重のお太鼓で、手幅(胴)を好みに広く折ることができます。裏地は垂先から手先まで共地や通し裏を使用します。名前が袋帯と付いていますが、一重太鼓の袋帯の短い帯です。

・開き名古屋帯(お染め仕立て:額仕立て)
長さは名古屋帯と同じですが、垂幅と手幅が同じです。一重のお太鼓で、手幅(胴)を好みに広く折ることができます。手の裏側は、裏地を付けるか、縫い代を直接帯芯に綴じ付ける方法があります。

以上の仕立て方の違いを、通常の名古屋帯と比較したものが以下のようになります

帯の形4種

その他の仕立てのオプションとして、下記のようなこともできます。

・ポケット付き
普通の名古屋帯で、帯板を入れて張りを持たせるためにポケットを付けます。手先からポケット中心までは約100cm(胴回り/2+62cm)で、ポケット口明きは、40cm位です。帯板を入れずに、もう少し大きく開けてハンカチを入れるためにポケットを付ける方もみえました。

名古屋帯のポケット

・手先比翼仕立て
松葉仕立ての逆で、通常の名古屋帯の手先38cm程度、広がるように比翼仕立てにすることです。

手先比翼仕立て

・二重太鼓トンネル仕立て
お太鼓部分の表生地と裏生地の間に別布を付け、トンネルのように口を開けることにより、一重太鼓に締めて二重太鼓のように見せられる仕立て方です。垂裏の織り方や色目などによって袋帯の二重太鼓のように見えない場合があります。

2024年3月29日 | カテゴリー : | 投稿者 : 和裁屋