付下げ??

訪問着は振袖の袖丈を短くしたようなきもので、振袖のような柄の配置です。上前(左前)衽から下前まで、また、掛衿から袖まで柄が続いています。それに対して付下げ模様とは、本来、模様付けの方法で、反物のまま、身頃、袖、衿、衽を区分して模様を置き、肩山、袖山を中心にして模様が上向きになるように模様付けされた着尺(きものの反物)の一種です。

訪問着調に上前(左前)、衽を主に模様付けされたものを付下げ訪問着ともいい、訪問着に次ぐ略礼装用として用いられています。

また、肩山、袖山を中心に小紋柄を上向き(振り分け)に配置されたものを付下げ小紋と呼んでいます。(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)

きもので言いますと、衽から前身頃、後身頃へと縫い目にわたって柄があり、柄が一つになるものを「絵羽模様」とか「絵羽:えば」といいます。振袖、留袖、訪問着、付下げは絵羽で、縫い目にわたって柄があり柄が一つになるのは分かっていますので、わざわざ「絵羽の振袖」とか言いません。羽織とかコートは名前だけでは分からないので、柄合わせがあるものは「絵羽の羽織」とか「絵羽織:えばおり」と言っていました。 40年以上前の修行をしていた頃、小紋と思って反物を広げて、傷やシミがないかと検品をしていると、墨打ち(身頃とか袖とかパーツの印)があり、背・脇・衽・掛衿(共衿)・本衿・袖付け全ての柄が合う「総絵羽」だったことがありました。お客様の寸法で柄が合うのか合わないのかなど、時間をかけて一つずつ全ての箇所を確認し、師匠に確認をしながら縫った思い出があります。(下の写真は総絵羽の振袖です)

2025年10月31日 | カテゴリー : きもの | 投稿者 : 和裁屋

訪問着ってなに?

訪問着は、振袖の袖丈を短くしたもので、振袖のように、いくつかの縫い目にまたがって柄が合うようになっている絵羽模様の訪問用のきものとして大正時代に考案されました。略礼装用のきものとして結婚披露宴や茶会、卒業式など広範囲に用いられています。また、振袖と共に、未婚者にも正式礼装としても着用されています。

紋は、三ッ紋・一ッ紋、または無紋でもよく、紋の数が多いほど格式が高いといわれていますが、一般には紋を付けずに着用されています。

模様は、上前(左前)に大きな柄があり、左前身頃から左脇、後身頃へと柄が続いています。衿から胸元、肩、袖付けにかけても柄が続くものが多く、友禅染や絞り、ぼかし染めなど様々な染色技法によって模様付けされているものが多い。

(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)

2025年10月24日 | カテゴリー : きもの | 投稿者 : 和裁屋

振袖の寸法直しは、お早めに!

2026年のカレンダーでは1月12日(月・祝)が成人式とされていますが、地域によっては三連休の中日である1月11日(日)に開催されるそうですね。娘のために購入した振袖をお孫さんにというように、ご家庭にあるものを着られる方が多くなっています。
現在の振袖はかわいい柄が多くて、原色を使っている傾向があり、20年以上の前の物は古典柄が多く金糸を使い生地も厚かったような気がします。仕事柄でしょうか、七五三詣でも同様ですが、成人式の様子をニュースで見ていると、原色の振袖のなかに、古典調の物を見つけると、ホッとします。

振袖の寸法直しが多い箇所は、身丈・裄直しでしょうか。振袖とその下に着る長襦袢と寸法を揃えて直します。裄直しで注意するのは、何度か着たものは袖の振り側が汚れている場合もあります。また、袖丈を長くする場合では、袖底(袖下)から丸みにかけて汚れが出てしまいます。ひどい物は寸法直しと同時にシミ抜きなども行います。合わせてシミ抜きもこの機会にどうでしょうか。無料でご相談も賜りますので、お気軽にお電話下さい。(0532-54-5788)

振袖の寸法直し(税別)

身丈直し‥‥17000円~
裄直し‥‥11000円(袖幅・肩幅)
袖丈直し‥‥6000円
袖作り直し‥‥12000円

長襦袢の直し(税別)

身丈直し‥‥15000円
裄直し‥‥8000円(袖幅・肩幅)
袖丈直し‥‥5000円
袖作り直し‥‥9000円

上記料金内で、簡単なシワ取りと仕上げ直しを施します。
裄直しは袖幅と肩幅を直した料金で、片方の場合割引します。
二箇所以上直した場合、重複される作業は割引します。
簡単な折り筋跡は料金内で出来る限り修正しますが、袖底(袖下)などの汚れは、追加料金で修正することも出来ます。(完全に消えないことがございます)
11月~年末に向けて大変混み合いますので、ご希望の方はお早めにお願いいたします。

振袖って?

元々の和服は現在の狂言衣装等に見られるように、振りも身八ッ口もなく、身頃と袖は縫い付けられていました。

鎌倉~安土桃山時代では
小袖が衣服の中心でした。

その後、振りの付いた袖を付けるようになり、振り付きのものの総称を「振袖」といいました。室町時代には存在したようで、主に子供が着用するもので、袖丈は現在のように長くなかったようです。時代ファッションの変化と共に、女性は帯を高く絞めるようになり、振りや身八ッ口が付き、お端折りをするようになり、若い女性が長い袖丈の振袖を着るようになったのは江戸時代からとされ、子供から娘時代までの外出着となりました。現在では二枚重ね(振袖と振袖の形をした下着を重ねて着ます)にして結婚式のお色直し、未婚婦人の礼装用きものとして用いられています。今から40年ほど前の昭和末期では、留袖の付け比翼のように振袖にも付け比翼を付けたものもありました。

現在、ご存じのように振袖は振りが開いていて袖の長いきものをいいます。未婚者の礼装・盛装用としてのきもので、裾回し(八掛)は共の生地または別の生地を使用することもあります。主に絵羽模様(背縫いや脇縫いなど縫い目にわたって柄が続くもの)です。

上前衽(左衽)から脇、背にわたって柄が流れ、掛け衿から胸元、袖付けへと柄が続くものや、全て柄が合うものもあります。一方で色無地の振袖もあります。(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)

袖は、本振袖(大振袖)・中振袖・小振袖があり、一番袖丈が長いのは本振袖(大振袖)で袖丈が約115cm(3尺)以上のもを指します。中振袖の袖丈は90cm~100cm位のもので、小振袖は身長の1/2を目安にして80cm位のものです。