子供物の裁ち方について
子供物は一ッ身~六ッ身まであると説明しましたが、その名称は、裁断方法の名称です。(ちゃんと表すと○○○裁ちです)反物を裁断する時に袖を取った残りが、断ち切る身頃の長さの何倍取るかによって、三ッ身は3倍、四ッ身は4倍・・・というように名称が変わります。(一ッ身・二ッ身は別です)
子供物は、大人物からの仕立て替えや余った布などを使う場合もあり、限られた布の長さで、工夫して裁ち合わせをして、極力無駄を省いた裁断方法ともいえます。
※以下の裁断図の布地の幅は普通、並幅で約36cmとしています。
※裁断図の実践は裁断する箇所・点線は折り山です。
・一ッ身裁ち
後身頃に背縫いを付けず、1枚の布幅いっぱい使って後身頃とするのが特徴です。前身頃と衽は反物の1/2幅を使います。およそ2歳まで着ることができます。
一ッ身は生まれてばかりの時に肌襦袢や半襦袢、産着(手通し) 、宮参り産着(宮参り掛け着)、歩き始め肩腰揚げをして着る一ッ身長着(ながぎ=きもの)、一ッ身袖無し羽織(ちゃんちゃんこ・伝知)、一ッ身袖無し被布などがあります。
使用する布の長さは、短い物で約3m使う産着(手通し)から、長く布を使う宮詣り産着大名袖(袷で裏地別)は8m使い、様々な裁断方法があります。(共紐で長い袖で仕立てる約8mから関西地方では9.6mと布を長く使うところもあるようです)
以下の裁断図は、反物の長さが短い順に並べました。
①産着(手通し) 並幅物3m(別途紐布が必要)
身丈65~70cm・袖丈約19cm(平袖)
②産着(手通し) 並幅物3.4~3.8m(別途紐布が必要)
身丈68~76cm・袖丈19~23cm(平袖)
③一ッ身きもの 並幅物4m(別途紐布が必要)
身丈85~90cm・袖丈約25cm(元禄・筒袖)
④一ッ身祝着大名袖(共八掛・共紐) 並幅物8~8.2m
身丈95~115cm・袖丈約57cm
一ッ身祝い着の宮参り初着(宮参り掛着)には、幅約7.5cmの紐に紐飾りが付きます。また、紋が入ってないものには、糸で背守りを付けるところもあります。
市販されている一ッ身宮参り初着には、下着と飾り袖が付いているものが殆どで、後の女児三歳のお祝いには、赤い飾り袖を取り外して、下着には半衿を掛けて長襦袢として使います。
⑤関西地方の一ッ身祝着大名袖(共八掛・共紐) 並幅物約9.7m
身丈約117cm・袖丈64cm
参考書籍
- 愛知県和裁教授連盟 発行「わさい」
- (社)日本和裁士会編 「新版和服裁縫」
- (社)日本和裁士会技術指導部・技術研究部編「和裁教科書」
- (社)日本和裁士会編「知っておきたい和裁の知識」