袖丈?裄(ゆき)? 正確な裄寸法の測り方

「袖丈が長いので直していただけますか?」と寸法直しのお電話をいただくことがあります。

和服(きもの・長襦袢・羽織る物:羽織やコートなど)で一番シビアに寸法の差が現れるのは、裄寸法(袖幅・肩幅)です。女物のきものの身丈はお端折りがあるので、多少調節できるなど、融通が効く寸法はありますが、裄寸法(袖幅・肩幅)は数ミリ単位で寸法を操作して、袖口や振りから長襦袢が出ないようにするなど、和服の仕立てでは大変重要な寸法です。

 

お客様のお話をよく聞いてみると、和裁の寸法で言う「裄:ゆき」が長いとのことです。洋裁の寸法名称(測る場所)と和裁の寸法名称が違っているので、そんなことがよくあります。

洋裁の寸法名称

洋裁の寸法名称

上の図で、袖丈というようにかかれているところは、「裄丈」というような名称の場合もあるようですね。

和裁は、肩幅と袖幅を足した寸法が「裄」となります。

和裁の寸法名称

和裁の寸法名称

裄寸法の測り方によっては、違ってしまします。正確な寸法の測り方は、下の図のように、袖口・振り・身八ツ口をぴったり揃え、衿は、肩山の折山通りにして衿を繰り越し分抜き、身頃を平らにします。袖も袖山の折通りにして平らに置きます。

裄の測り方

裄の測り方

測るときには、袖山・肩山を手前に(自分側)に置くと測りやすいです。

きものの裄の測り方

きものの裄の測り方

 

動画を作成しました。ご覧ください。

 

 

 

たまに、下の図のように袖山の袖幅と、振りでの袖幅が違っている場合があります。この様な袖付けの付け方を「扇付け」と言われています。

袖付けの「扇付け」

袖付けの「扇付け」

注意点

  • 注意しなければならないのは、長襦袢の上に着物を着ますので、着物の裄直しをする場合は、長襦袢の袖幅や肩幅、裄の寸法がどのようになっているのか、確認する必要があります。いろいろな仕立て屋さんや呉服屋さんで、長襦袢の控え寸法(着物より控える寸法)は異なりますが、私どもは、裄は着物-1.2cm、袖幅は着物-0.8cm、肩幅は着物-0.4cmで仕立てます。また、長襦袢の生地幅が非常に伸びる場合(着用するときに引っ張りますので)や、単衣の紬などの生地で、長襦袢が着物にくっついてしまう場合、袖口明きが大きい男物の場合など、長襦袢の裄を-2cm程度にする場合があります。

 

  • 逆に着物の上に着るコートや羽織は、着物の裄(袖幅・肩幅)を広くします。アンサンブルは同時に仕立てるので、着物と羽織の寸法は整合性がありますが、オークションで購入された着物や長襦袢、羽織などは寸法がバラバラなので、注意する必要があります。

 

  • 羽織(コート)→着物→長襦袢 の順序で裄(袖幅・肩幅)も短くしてゆきます。幅の関係が良くないと、振りから長襦袢が出てしまったりしてしまいます。長襦袢はポルトガル語の「ジュバン」が語源で下着と言う意味です。長襦袢が出てしまうと「みっともない」と言われかねません。ちょっと意味が違いますが・・・・「人の振り見て、我が振り直せ」とも言いますので・・・・(^_^;)ちょっと違う意味ですが・・・・・・