単衣の仕立て②
先回は、単衣の背縫いまで説明させていただきました。
(先回のブログはこちらから)
今回は、脇縫いを説明させていただきます。
◆単衣着物の脇
脇縫いの方法として、脇縫いをして脇縫い代を前身頃側に倒し脇納めをする方法と、ウールなどで行うミシン縫いをした場合に「縫い割る」方法、絹単衣着物などに行う「縫い目隠し」の方法があります。
◆片側に倒す方法
手縫いの場合は、浴衣より細かく、素材に応じた針目で脇を縫います。次に前身頃に縫い代を倒し、裾から裾くけ代分上がったところで、折りぐけ代分切り込みを入れ、脇縫い代を折りぐけで身頃にくけ付けます。後身頃いっぱいに居敷当てが付く場合、この方法で居敷当ても一緒に、くけ付ける場合がありますが、薄物や絽小紋など裏側の色が透けてしまう場合は、くけ代や居敷当てを織り込む位置など、工夫をします。(ミシン仕立てでもこの方法で行うことがあります)
折りぐけ
◆ウール着物などミシン縫いの場合で縫い割りにする方法
ウール着物などのミシン仕立てで行う方法です。脇縫いをした後、脇縫い代を下図のように脇縫い縫い目で縫い割り(縫い代を広げて割る)にします。
鏝(こて)などで、しっかり縫い目を押さえます。
裾から裾くけ代分上がったところで、折りぐけ代分切り込みを入れ、脇縫い代を折りぐけで身頃にくけ付けます。
◆絹単衣着物などに行う「縫い目隠し」
始めに通常通り脇縫いをし、その縫い目から約4mm程度上を空縫いします。
脇縫いで被折りをし、前身頃へ縫い代を倒します。次に空縫いに沿って脇縫い代を開きます。
裏側から脇縫いと空縫いの間に綴じを入れます。
裾から裾くけ代上がったところで、脇納めのくけ代分、切り込みを入れます。絽など表側から見て、透ける物などは脇納めのくけ代分を深くする場合があります。
居敷当てが付く場合は、「片側に倒す方法」で脇納めをします。地方によって、呉服店によっても「縫い目隠し」をしたり、しなかったりします。
縫い目隠しにまつわる師匠との雑談で・・・・
この縫い目隠しの方法(脇、衽、など縫い目隠しにします)は、中部地方あたりで行われ始めたそうで、昔、東京から来られた和裁の先生が、この縫い目隠しの方法を見て、「縫い目が見えないなんて、粗く縫って飛ばす方法だ!縫い目のあら隠しだ。東京の職人は、縫い目を見せて仕立てをしている。」と言われたことがあるそうです。
この言葉を胸に、私達はきちんと単衣の縫い目で縫っています。
次回に続く・・・・・