襦袢の種類(男物長襦袢)

男物長襦袢

女物長襦袢と同様、袷衣長襦袢、胴抜き長襦袢、単衣長襦袢があります。

男物長襦袢・袖の形について

男物長襦袢の袖の形は大きく袖口が開いている平袖口に袖口留めをし、丸みを付けない角袖です。女物のように振りはなく詰め人形が付き、縫い詰めてあります。

男物袷衣長襦袢
男物長襦袢・衿の形

女物長襦袢は広衿、バチ衿、広バチ衿がありますが、男物は棒衿です。衿山から衿先まで真っ直ぐで、衿幅は5.7cm(1寸5分)~6.4cm(1寸7分)ほどで身長など体型に合わせます。

長襦袢棒衿

竪衿は付かず裾から衿が付いているものが主流でした。男性はあぐらをかくことが多かったため、足さばきのよい裾まで衿がある長襦袢を着用されてきていました。

その後、椅子に座ることが多くなり、別衿にすると幅が広く使えることで衿の打ち合わせがよく衿元が崩れにくいと言う理由や、全国チェーン店が全国統一規格で広めたことなど、女物と同様に褄下が付いた別衿のものが少しずつ出回ってきたと考えられます。

男物長襦袢の反物

袷衣長襦袢の生地は、約40cm幅のものや、背中に大きく柄が染められている約80cm幅の広幅物があります。

今日では女物でも男物でも、便利な既製品の長襦袢が多く出回っています。二部式や洗える長襦袢、マジックテープで袖が付くもの、男物ではTシャツに半衿が付いているものなど、「襦袢」で検索すれば一杯出てきますね。

襦袢の種類(長襦袢の衿)

長襦袢の衿の形

女物の衿の形は、広衿、バチ衿、広バチ衿に大別でき、男物は棒衿です。

「広衿」は衿山から衿先まで10.6cm(2寸8分)の真っ直ぐな衿です。衿を折って着用するので好みに合わせて衿幅が調節できますが、少々厚みがあります。

長襦袢広衿

「バチ衿」は衿肩廻りで5.5cm、剣先で6.5cm、衿先で7.5cmの衿で広衿より薄く、そのまま着用できますが、衿幅を調節することはできません。

長襦袢バチ衿

「広バチ衿」は広衿を折った状態にした衿で、衿肩廻りは5.5cmですが、剣先から衿先にかけてバチ衿よりも広く作ります。

長襦袢広バチ衿

「棒衿」は男物の衿で、衿山から衿先まで真っ直ぐです。衿幅は5.7cm~6.4cm程度で身長など体型に合わせます。

長襦袢棒衿

他、着用される方の好みに合わせて衿幅を変えることができます。

きものは「衽おくみ」、長襦袢は「竪衿」とも言います。

きもので言う衽を長襦袢では「竪衿(たてえり)」とも言います。衽と言っても間違いではありません。竪衿が付いて褄下から別布(広衿やバチ衿など)が付くものを「別衿仕立て」と言い、現在では別衿仕立てが殆どとなりました。

別衿仕立てに対し、衿が裾まで付いていているものもがあります。別衿の長襦袢と比べて、別衿幅分狭くできていますので、足さばきがよいともいわれています。別衿仕立てを「関西風:関西仕立て」、衿が裾まであるものを「関東風:関東仕立て」(通し衿)とも言います。

関東仕立て (裾まで衿の長襦袢)
関西仕立て(別衿の長襦袢)

今の長襦袢竪衿幅は袷衣も単衣も、反物の半幅に切り、二重にした1/4幅の約8cmで仕立てたものが殆どです。以前の単衣長襦袢は、単衣きものの様に一重の竪衿を13cm以上にし、石づきを付け、立褄は三つ折りで作りました。体型が太い方にとってはその方が着やすく、衿の打ち合わせもしっかりできます。

袷衣長襦袢では、竪衿裏側に裏地を付けて竪衿幅を広く仕立てる方法もありますので、一度ご相談下さい。

和裁屋での女物長襦袢の現在

長襦袢の形は、地方によって様々です。私が感じている今現在で多く仕立てている女物長襦袢の形は、袷衣では、胴抜き長襦袢で、後身頃に居敷当てを付けるものが多いでしょうか。裾返しは裾輪な、裾吹き付き、両方あります。竪衿幅は上記のように基本的には生地幅1/4の出来上がりで、幅が約8cmですが、着られる方の体型によっては、裏地を付けて広く仕立てています。単衣でも同様で、竪衿幅は約8cmがほとんどで、体型を考慮して広くする場合は単衣のきものの衽の様に広くして石づきを付けます。袖の形は、角袖、丸み付け、丸みの有無、袖口はお客様のご要望で様々です。

襦袢の種類(長襦袢の裾)

布の使い方によって(裾について)

長襦袢の裾は、裾返し、通し裏、しず布(竪しず・裾しず)付き、三つ折りぐけ(石づき)があります。

「裾返し」は袷衣長襦袢の裾で、表布を裏側に返したもので、輪のままのものを「裾輪な」と言い、裾で摘まんで袷衣きものの裾のように吹きを作ったものを「裾吹き」といいます。

名古屋では「裾輪な」が多く東三河と呉服チェーン店では「裾吹き」が殆どだったような気がします。トータルではどちらも同じくらい仕立てています。

「通し裏」は男物袷着物のように裾まで別布の裏が付いたものです。殆どありません。

「しず布(竪しず・裾しず)付き」は摘まみ竪衿の袷衣長襦袢に、共地あるいは別布を裾しず(裾返し)や竪しず(竪衿裏)にしたものです。しず布のことを「ざん(衣へんに浅の右側)」ともいい、裾ざん・竪ざんとも言っています。

摘まみ竪衿とは、前身頃の衿肩明きから前幅を結んだ線で0.8cm程度摘まんで竪衿(衽)が付いているように見せかけた仕立て方で、子供用のきものの四ッ身に見られる方法です。反物の長さが短くてできますが、背縫いを深く縫うため、肩幅(裄)や身幅を広くできないので制限があります。

「三つ折りぐけ(石づき)」は単衣長襦袢の裾の状態のことで、前身頃・後身頃など三つ折りにしてくけ付けます。「石づき」は、単衣着物と同じように、褄下先(褄先)を額縁のようにすることをいいます。

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襦袢の種類(長襦袢の種類と袖)

腰あたりまでの半襦袢に対し、長襦袢は足のくるぶし上ほどの丈で、長い襦袢のことです。女物きものと違ってお端折りはなく、対丈で着ます。

女物長襦袢の種類

季節によって

長襦袢も季節によって使い分けます。大きく別けて袷衣(あわせ)と単衣(ひとえ)に別けられます。袷衣長襦袢は、袖および前身頃と後身頃に胴裏地(別の裏地または表生地と同じもの・袖は表生地と同じものを使う無双袖が殆どです)が付く「胴裏付き長襦袢」と、袖以外に裏地が付かない「胴抜き長襦袢」があります。昨今では胴抜き長襦袢の後身頃の内揚げから裾まで居敷当てを付けるものが多いです。

袷衣長襦袢


裏地が全く付かないのは、単衣長襦袢です。生地は、縮緬の他、暑い頃に着られる絽・紗・羅・などがあります。

単衣長襦袢

布の使い方によって(袖について)

袖は、無双袖・半無双袖・別布裏付き袖・単衣袖に別けられます。
無双袖は袷衣長襦袢の袖で、表裏同じ布を使って袖を作ります。袖口にはきものと同じような「吹き」を付けるものもあります。

袖口吹き付き

袖振り側、口側のぼかしや柄合わせ等がない場合や、大きな汚れやシミがない場合は原則、表袖と裏袖を切らず、続けて取った状態で仕立てます。作り直す時に、長い布は様々なパーツとして有効活用できるためです。

半無双袖も袷衣長襦袢の袖で、着用したときに無双袖に見えるように、袖口側や振り側に長細い共布を付けた袖です。

半無双袖

別布裏付き袖も袷衣長襦袢の袖で、裏地を別布で作った袖です。現在では殆どありません。

単衣袖は単衣長襦袢の袖で、袖口側は耳端のままであったり、細く三つ折りをします。

女物長襦袢・袖の形について

女物襦袢の袖の形は大名袖のように大きく袖口が開いている広袖口のものや、きものの袖のように袖口があり袖口下があるものもあります。

振袖のような大きな丸みがある長襦袢は、同寸の丸みを付けますが、1寸(3.8cm)未満のものは男物長襦袢のように丸みを付けない仕立て方もあります。

襦袢の種類(半襦袢について)

女性用半襦袢

半襦袢は裾除けと組み合わせて使います。上下に分かれているので丈の調節ができ、ワンピースの長襦袢の代用品として着やすいです。袖と身頃共に長襦袢用の生地で袷衣や単衣に作る場合と、普段着等として身頃を晒木綿やネルなどを使い場合もあります。また、衿のうち合わせをよくするために衽(竪衿)を付ける場合もあります。衿は広衿、バチ衿などがあり半衿を付けます。袖の形は袷衣の袖・単衣の袖・や広袖口であったり、きものの同様に袖口下を付けるもの、丸み(袂丸)の有無など様々な形があります。(後日紹介します)寸法は上着の丈が60cm程度で身長に合わせて調節し、その他の寸法は長襦袢の寸法と殆ど同じです。上着、裾除け共に長襦袢の生地で作る場合は、二部式(ツーピース)の長襦袢となります。

男性用半襦袢

男物半襦袢も女物半襦袢と同様に、長襦袢の代用品として着用でき、身丈は女物より長めです。女物と同様に袖・身頃共に袷衣や単衣があります。袖を別布にする場合、滑りのよい生地にした方がよいでしょう。袷衣袖は羽二重や縮緬、単衣袖では絽や紗化繊などで、身頃は晒木綿や麻、ネルなどがよいでしょう。衿は棒衿、袖は女物と違い、袖付けが長く詰め人形が付き、平袖口で角袖です。半襦袢の下には、ステテコや裾除けを着用します。(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)

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2025年12月12日 | カテゴリー : 襦袢 | 投稿者 : 和裁屋

襦袢の種類(肌襦袢について)

肌襦袢について

肌襦袢は素肌に着用し、汗や汚れを吸収する下着です。素材には肌触りがよい、通気性、吸湿性に優れ、選択にも便利な晒木綿やガーゼといった布が使用されます。単衣が多く、裾除けと一緒に着用します。男物と女物があり、その違いは、袖下明きと身八ッ口が有るか無いかです。

女物の肌襦袢の特徴

  • 身丈は53cm程度で身長に合わせて調節します。
  • 袖は筒袖で、袖口は広袖口
  • 袖丈は19cm位、袖幅は半幅使いとします。
  • 袖下明き、身八ッ口を付けます。
  • 脇に馬乗りを付けます。
  • 衿幅は2~3cm、繰越を2cm程度付けます。

男物肌襦袢の特徴

  • 身丈は60m程度で身長に合わせて調節します。
  • 袖は筒袖で、袖口は広袖口
  • 袖丈は25cm位、袖幅は半幅使いとします。
  • 脇に馬乗りを付けます。
  • 衿幅は3~4cm、繰越は付けません

裾除けは腰に巻き付けて使います。素材は滑りのよいベンベルグなどを使用し、腰布には晒木綿や新モスを使います。裾さばきをよくし、長襦袢の汚れを防ぐためにも使われます。(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)

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2025年12月5日 | カテゴリー : 襦袢 | 投稿者 : 和裁屋

襦袢ってな~に?

襦袢(じゅばん)は、古くは襯衣(しんい)といい、肌着のことです。語源はポルトガル語の「Gibão(ジバゥン)」で、昔の衣服の一種を指す言葉です。もともとはベスト(チョッキ)のように袖の無い上半身を包むものでしたが、江戸時代後半頃より、晴着には足のくるぶし上まである長い丈の「長襦袢」を、平常着には腰あたりまでの丈の「半襦袢」が用いられ、今に至ります。

長襦袢は柔らかくしわになりにくい生地が使用されています。以前は殆どが正絹(絹100%)でしたが、既製品では化繊も多く出回っています。化繊は安価ですが、冬場の空気が乾燥している時期は静電気が起こりやすく、ほこりが付きやすい傾向がありますので注意しましょう。

色合いは淡い色目を選び、きものとの調和を考えましょう。特に薄い色のきものの下に濃い色の長襦袢を着ると透けてしまう場合がありますので注意しましょう。

秋から春にかけての季節はきものが袷衣の季節なので長襦袢も袷衣を、それ以外の季節には単衣長襦袢を主に着ます。和服の衣替えは6月と10月ですが、昔と比べ、暑い季節が長くなり、あまり拘る必要がなくなってきているのも事実ですね。春や秋の中途半端な袷衣の季節は、胴抜き長襦袢とか、袖は半無双にしたりとか、単衣仕立てにしたりとか工夫します。盛夏には絽・羅・紗や麻などの長襦袢がよいでしょう。真夏の結婚式でも、単衣の留袖とか訪問着なんて持っている方は殆どいませんし、会場はクーラーが効いていますので、袷衣でもOKです。

襦袢は大変種類が多く、形の違いや地方によって、名称や作り方などに特徴があります。次回から、それらの説明をしてみたいと思います。(参考:(一社)日本和裁士会編 新版和服裁縫)

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2025年11月28日 | カテゴリー : 襦袢 | 投稿者 : 和裁屋