帯について⑨(形を変える名古屋帯)

今回は、名古屋帯の仕立て方を紹介します。

・松葉仕立て
開き名古屋帯の手先38cm位を二つ折りに縫い合わせた帯です。胴に巻く部分はお好みの幅に折って締めることができます。手の裏側は、裏地を付けるか、縫い代を直接帯芯に綴じ付ける方法があります。

・京袋帯
長さと幅は開き名古屋と同じです。京袋帯も一重のお太鼓で、手幅(胴)を好みに広く折ることができます。裏地は垂先から手先まで共地や通し裏を使用します。名前が袋帯と付いていますが、一重太鼓の袋帯の短い帯です。

・開き名古屋帯(お染め仕立て:額仕立て)
長さは名古屋帯と同じですが、垂幅と手幅が同じです。一重のお太鼓で、手幅(胴)を好みに広く折ることができます。手の裏側は、裏地を付けるか、縫い代を直接帯芯に綴じ付ける方法があります。

以上の仕立て方の違いを、通常の名古屋帯と比較したものが以下のようになります。

その他の仕立てのオプションとして、下記のようなこともできます。

・ポケット付き
普通の名古屋帯で、帯板を入れて張りを持たせるためにポケットを付けます。手先からポケット中心までは約100cm(胴回り/2+62cm)で、ポケット口明きは、40cm位です。帯板を入れずに、もう少し大きく開けてハンカチを入れるためにポケットを付ける方もみえました。

・手先比翼仕立て
松葉仕立ての逆で、通常の名古屋帯の手先38cm程度、広がるように比翼仕立てにすることです。

・二重太鼓トンネル仕立て
お太鼓部分の表生地と裏生地の間に別布を付け、トンネルのように口を開けることにより、一重太鼓に締めて二重太鼓のように見せられる仕立て方です。垂裏の織り方や色目などによって袋帯の二重太鼓のように見えない場合があります。

あけましておめでとうございます

令和6年1月1日

明けましておめでとうございます。

今年は辰年です。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

2023年12月31日 | カテゴリー : きもの | 投稿者 : 和裁屋

寸法直しについて④


譲ってもらったきものや、古着屋さんやネットから購入したきものなど、寸法直しの依頼が多くなっています。今回から、寸法直しについて説明します。第四回は袖丈や繰越直しなどについてです。

○その他の寸法直し


・袖丈直し・丸み直し
袖底(袖下)を縫い直します。縫い代があるか?色やけがないかなどがポイントです。
男物は女物と違って、振りや身八ッ口がありません。男物きものの場合は、袖付け=袖丈―詰め人形(10cm)なので、袖丈によってある程度袖付け寸法が決められていますので、脇を縫い直す必要がある場合があります。男物羽織の場合は袖丈=袖付けなので、短くする場合は、襠に縫い代があるか確認が必要です。短くするのも、長くするのも襠を縫い直さなければなりません。


・袖付け直し
女物の通常の袖付けが21~23cmですが、胸高に帯を締める振袖の袖付けは、17cmと短いものがあります。ふくよかな肩が着ると、袖付け下から二の腕が見えてしまうということがあります。その場合、袖付けや身八ッ口を長く直すことができます。

・繰越直し
繰越を多く(深く)する場合、簡単に直す方法は衿を取って、背での縫い代を深くする方法があります。逆に繰越を少なく(浅く)する場合は、衿肩明きの位置を前身頃側へ移動させなければならないので、後身頃の揚げを伸ばして、前身頃の揚げを縫い込みます。衽も腰から上は縫い直しをします。

繰越直し

・ほころび直し
寸法直しではありませんが、布が裂けたり、縫い糸が切れてしまったところを補修するほころび直しの多い箇所は、袖付けです。やはり、力が加わるところですね。袖付けは、しっかりと糸で留めているので、布が裂けます。裂けて穴が開いた箇所は、裏側から補強の布を当てて、縫い直しますが、同じ箇所なので、少々弱くなってしまいます。きものを仕事着にしている方は、袖付けは裂けやすいことを知っているので、日頃から注意をしていて、友人に袖の振りを引っ張られてひどく激怒していました。
背縫いや脇縫い、衽付けを「立て縫い」と言いますが、腰やお尻あたりでは時間が経つと縫い糸が弱り、切れてしまう場合があります。

背縫いのほころび

その時点で、あちらこちらの糸が切れてもおかしくない状態なので、仕立て直しをおすすめします。糸が先に切れる場合は、布地が裂けて穴が開くことはあまりありませんが、布地の織り糸が一方向に寄ってしまい薄くなります。

織り糸の寄り
寄りの修正

この場合は、針先で織り糸の寄りを戻し、必要であれば布地等で補強をして縫い合わせます。


・袷衣きものの裏地取替(胴裏取替・八掛取替)
時間が経って、黄変した胴裏(上裏)や八掛、その両方を取り替えることができます。
また、八掛の裾が擦れて穴が開いた場合は、上下を変えることができます。何度か着用すると腰あたりは幅が伸び、身丈は湿気によって縮むものがほとんどです。裏地のみの交換は、初めて仕立て上がった時のようには綺麗になりにくいというのが本音です。

裏地取り替え(前)
裏地取り替え(後)

身丈直し・裄直し・身幅直し・同裏取替など、複数の寸法直しを行う場合、解き洗い張りをして仕立て直しをした方が、きれいに安くできる場合がありますので、ご相談ください。

昔の仕立て屋さんは、蝋チャコを使う方もいて、裄直しでも紹介した表からの色チャコや、下の写真の様な衿付け(流れ)の表からのチャコもやっかいです。洗い張りで薄くなる場合もありますが、浸み込んでしまっているケースもあります。

衿付け(流れ)の表からのチャコ

一番やっかいなのは、カビです。染み抜き屋さんに聞いても、なかなか取れないそうです。乾燥して天気の良い日に吊して陰干しをして、着物にシミがないか、カビなど発生していないか、確認をしましょう。

大島のカビ

お相撲さんのきもの
7月は名古屋場所が開かれます。今年も続々と新幹線でお相撲さんが名古屋駅に到着しました。名古屋場所の最中は市内の地下鉄でも、浴衣姿のお相撲さんを見かけ、鬢付け油のほのかなにおいが漂っていました。


 お相撲さんの和服の反物の幅は、私たちが着ているきものの幅と同寸です。身長も、裄も身幅もビッグサイズですね。なので、裄直しで紹介した「割布」を、袖付け側、脇に入れて、幅を広くします。通常の衽の布幅は半幅程度ですが、お相撲さんは、布の一幅を使います。入門したては、一反しか与えられないので、ちんちくりんの短い浴衣を着ていますが、出世して後援会などのスポンサーが付くと、複数の反物を使うことができますので、体型にあった浴衣やきものを着ることができるようになります。私が、和裁の修行中にお相撲さんの浴衣を仕立てることがあり、汗かきなのでハンカチを入れるようにポケットを付けたこととや、縫って最後に仕上げをして畳みますが、仕上げ台(約90cm×180cm)に乗らなかったことを思い出します。
昇進などのインタビューではそんな「割布」が入っている和服姿を見ることができますよ。

寸法直しについて③


譲ってもらったきものや、古着屋さんやネットから購入したきものなど、寸法直しの依頼が多くなっています。今回から、寸法直しについて説明します。第三回は身丈直しについてです

○身丈直し
身丈直しのみの依頼はあまりありません。裄や身幅直しなどすべての寸法が違うので解き洗い張りをして仕立て直しするパターンが多いです。身丈は、女物の場合身長を基準にして、肩に厚みがありふくよかな肩は、多少長めにします。
 男物の場合は、身長×0.83~0.85を基準としますが、女物のようにお端折りがなく融通が効かないので実際に着てみて、どれくらい短くするのか、長くするのかを測ります。


・腰揚げで直す場合
女物では身八ツ口の下あたりに、男物ではお腹の下あたりに縫い込まれている縫い代を揚げ(あげ)とか内揚げ(うちあげ)といいます。身丈を長くする場合、この揚げの量を測ります。身丈を長くするに伴って、衽や衿の縫い代も必要になってきますので、縫い代が縫い込まれているのかを測ります。


・裾を切って直す場合
浴衣など単衣物で身丈を短くする場合、裾を切って短くする場合があります。上記のあげで直す方法より安価にできますが、褄下寸法も短くなります。また、元の長い身丈に戻すことができませんので注意が必要です。

・布を継ぎ足して直す場合
先日、単衣着物の仕立て直しの依頼がありました。ご自身で解き、持ってこられました。この方の身長は160cmで、すべての寸法が小さく、身丈は裁ち切りで15cm程短く、見えないところで布を継ぎ足してほしいとのことでした。前・後身頃共に帯に隠れる場所やお端折りの内側に15cmの布を足せば簡単なのですが、前身頃のお端折りは、斜めに重ねて着付けるので、15cm真っ直ぐには布が足せません。ちょうどきものを着る機会があったので、お越しいただき、隠れる場所をきものを着た状態で、裾からお端折り下の「わ」までの距離・お端折りの深さなどを測らせていただきました。それ以外に肩山から帯上までの長さ・帯下からのお端折りの量などポイントの箇所に標(糸標など)をして、きものを広げて細かく測ることができれば、確実に隠れる場所が分かります。

きものの隠れる場所の計測箇所

今回も(社)日本和裁士会の研修会「足し布による身丈出し(剥ぎの位置)」でいただいた身長別のデータを参考にして布を接ぐ位置を算出しました。下の図は、身長160cmの方のおよそ見えない箇所です。

身長160cmの方の隠れる場所

今回の場合、後身頃にはできるだけ長い足し布が必要なので、掛衿から取った共布をお端折りの内側から帯で隠れる位置まで長く布を継ぎ足し、衿肩明きは前身頃側へ移動させ、新たに衿肩明きを切りました。共布で居敷当てがありましたので、前身頃はお端折りの内側になる部分と、衽の上部など継ぎ足しをしました。下の図は、今回足し布をした箇所です。

上記以外にも、右の衽から布地を取り、縦横を変えて胴に次いだ例

別布でお端折りの中で継いだ例

参考資料:「足し布による身丈出し」(剥ぎの位置)アンケートによるレポート((社)日本和裁士会東京支部・東京和服裁縫協同組合)

2023年11月17日 | カテゴリー : きもの | 投稿者 : 和裁屋

寸法直しについて②

譲ってもらったきものや、古着屋さんやネットから購入したきものなど、寸法直しの依頼が多くなっています。今回から、寸法直しについて説明します。第二回は身幅直しについてです。

○身幅直し

身幅直し

身幅直しも広くするのがほとんどです。身幅算出の基本は、立妻が脇線に揃う着方で、後幅×2+前幅+合妻幅=ヒップ寸法(一番太い寸法)+ゆるみ(4cm~)を基準とします。気を付けるポイントは、以下のようです。

・縫い代があるのか?
裄直しと同様、広くする場合、単衣は裏に返せば縫い代の量が分かりますが、袷衣の場合は、指で触って縫い代の量を測ります。確実なのは裏袖付けの縫い目を解きひっくり返して、表脇縫い代、胴裏生地の縫い代、八掛の縫い代の状態(切り込みが入ってないかどうかなど)確認をし、直せるのかどうかを判断します


・絵羽物(柄合わせがある物)では
訪問着や付下げ、留袖などの絵羽物(柄合わせがある物)は、生地の端まで刺繍や柄が染められていない場合がほとんどです。縫い代があっても身幅が広げられない場合もあります。脇のみで直す場合、柄一杯となり柄は崩れます。


・色の変色
裄直しと同様に、時間が経っている物は色焼けなど変色があります。ひどく色焼けしている場合は、直すのを中止するか、そのまま直すか、色掛け(色の修正)をしてから直すのか一度お客様と相談をします。

・前幅、後幅のバランス
身幅直しは基本、脇で直します。腰骨の位置が脇線になり、お腹が大きければ前幅を広げ、お尻が大きければ後幅を広げます。反物から仕立てる場合、色無地や小紋など前身頃と後身頃の脇縫い代は同寸にしますが、出来上がった物を直すとなると、脇縫いだけで思うような前幅・後幅にならないこともあります。脇縫い代の深さの差が極端に多い場合、生地がねじれてシワが出てしまう場合があります。大幅に直さなければならない場合は、脇のみで直さず、衿・衽も解いて直します。

子供きものの種類④(四ッ身~六ッ身)

・四ッ身
後身頃の背から衿を取り、前身頃を摘んで衽が付いているように縫い目を立てるのが特徴です。5~6歳頃まで着ることができます。現在では子供物全般のきものはこの方法で作られています。

四ッ身女児きもの(長袖)


○四ッ身きもの 並幅物約5.7m 
身丈約125cm・袖丈約32cm(元禄袖)

長着以外の四ッ身としては四ッ身羽織、四ッ身被布などがあります。

四ッ身女児羽織(元禄袖)
四ッ身男児羽織(筒袖)
四ッ身被布長袖
四ッ身被布元禄袖

・五ッ身裁ち(大四ッ身裁ち・別衽裁ち)
五ッ身裁ちは前身頃より衿を取り、衽は半幅の布を使って付けます。大人物に近い寸法に作ることができます。
○五ッ身きもの(大四ッ身裁ち・別衽裁ち) 並幅物7.6~8m
 満7歳の標準身丈134cm・袖丈36cm(元禄袖)

・六ッ身裁ち(大人用の裁断方法)
六ッ身裁ちは本裁ち(大人用きもの)と同じ方法で裁断し、寸法を子供用紙仕立てる方法で、8歳以上の子供物に用いられる裁断方です。
○六ッ身きもの(大人用の裁断法) 並幅物約12m

四ッ身長袖着物から六ッ身(大人用振袖)までを並べてみると・・・・・

四ッ身祝い着から六ッ身(大人用振袖)を並べてみると

2023年9月1日 | カテゴリー : きもの | 投稿者 : 和裁屋

子供きものの種類③(二ッ身・三ッ身)

今回は、今ではもう仕立てられなくなってしまった、二ッ身から三ッ身までを紹介します。

・二ッ身裁ち
原則、裏表区別が付かない両面物を使用し、背縫いがつきます。トータルの幅は一ッ身と変わらない(狭くなる?)のと、前幅と衽幅のバランスが悪く、今ではほとんど作られることがありません。
○二ッ身きもの 並幅物3.8~4.5m ※両面物に限る
 身丈約95cm・袖丈約49cm

標準的な寸法の、お宮詣り初着(お祝い着)と二ッ身、初着(袖通し)を重ねてみると、こんな風になります。お宮詣り初着は3歳でも使われるため身丈は長く仕立てます。

・三ッ身
昔、数え年3歳のお祝い(お宮詣り)に初めて背縫いのあるきものを着せる習慣があり、三ッ身を着ましたが、着られる期間が短く、今では用いられなくなりました。三ッ身も原則、両面物を使います。片面物でも作れますが、余分な残布が出てしまい経済的とはいえません。着た時の格好は二ッ身よりもバランスがよいです。
○三ッ身きもの 並幅物4.5~5.7m ※両面物に限る
 身丈約100cm・袖丈約57cm(長袖)

上記の裁断図より袖を取った残りで身頃竹の三倍でできることから三ッ身という名が付きました。

長着以外の三ッ身の和服として袖無し三ッ身被布などがあります。

三歳児用 袖無し被布

先回、一ッ身を紹介しましたが、お宮詣りなどに使われるきもので、まだ需要があります。しかし、二ッ身と三ッ身は、現在、殆ど作られることはありません。その理由として、一ッ身から三ッ身を標準寸法で作った場合、一ッ身は後身頃中心から衽の先までで、47.5cm、二ッ身は背縫いから衽先までが47cm、三ッ身は48.5cmで、トータルの幅も一ッ身と同じような幅です。

標準的な寸法(長袖)のきものを重ねて見るとこんな風になり

一ッ身から三ッ身を並べてみるとこんな風になります。

二ッ身や三ッ身は、階段状に複雑に裁断するので難しいことや、お祝い着ではお宮詣りの一ッ身宮参り初着と、その他では四ッ身が殆どとなりました。二ッ身も三ッ身は着る期間が短いのと、お祝い以外で一般の方は着られないため、ほとんど作られていません。

子供きものの種類②(一ッ身)

子供物の裁ち方について
子供物は一ッ身~六ッ身まであると説明しましたが、その名称は、裁断方法の名称です。(ちゃんと表すと○○○裁ちです)反物を裁断する時に袖を取った残りが、断ち切る身頃の長さの何倍取るかによって、三ッ身は3倍、四ッ身は4倍・・・というように名称が変わります。(一ッ身・二ッ身は別です)
子供物は、大人物からの仕立て替えや余った布などを使う場合もあり、限られた布の長さで、工夫して裁ち合わせをして、極力無駄を省いた裁断方法ともいえます。
※以下の裁断図の布地の幅は普通、並幅で約36cmとしています。
※裁断図の実践は裁断する箇所・点線は折り山です。

・一ッ身裁ち
後身頃に背縫いを付けず、1枚の布幅いっぱい使って後身頃とするのが特徴です。前身頃と衽は反物の1/2幅を使います。およそ2歳まで着ることができます。

一ッ身は生まれてばかりの時に肌襦袢や半襦袢、産着(手通し) 、宮参り産着(宮参り掛け着)、歩き始め肩腰揚げをして着る一ッ身長着(ながぎ=きもの)、一ッ身袖無し羽織(ちゃんちゃんこ・伝知)、一ッ身袖無し被布などがあります。

使用する布の長さは、短い物で約3m使う産着(手通し)から、長く布を使う宮詣り産着大名袖(袷で裏地別)は8m使い、様々な裁断方法があります。(共紐で長い袖で仕立てる約8mから関西地方では9.6mと布を長く使うところもあるようです)

以下の裁断図は、反物の長さが短い順に並べました。


①産着(手通し) 並幅物3m(別途紐布が必要)


 身丈65~70cm・袖丈約19cm(平袖)


②産着(手通し) 並幅物3.4~3.8m(別途紐布が必要)
 身丈68~76cm・袖丈19~23cm(平袖)


③一ッ身きもの 並幅物4m(別途紐布が必要)


 身丈85~90cm・袖丈約25cm(元禄・筒袖)


④一ッ身祝着大名袖(共八掛・共紐) 並幅物8~8.2m


 身丈95~115cm・袖丈約57cm

一ッ身祝い着の宮参り初着(宮参り掛着)には、幅約7.5cmの紐に紐飾りが付きます。また、紋が入ってないものには、糸で背守りを付けるところもあります。

市販されている一ッ身宮参り初着には、下着と飾り袖が付いているものが殆どで、後の女児三歳のお祝いには、赤い飾り袖を取り外して、下着には半衿を掛けて長襦袢として使います。


⑤関西地方の一ッ身祝着大名袖(共八掛・共紐) 並幅物約9.7m
 身丈約117cm・袖丈64cm

参考書籍

  • 愛知県和裁教授連盟 発行「わさい」
  • (社)日本和裁士会編 「新版和服裁縫」
  • (社)日本和裁士会技術指導部・技術研究部編「和裁教科書」
  • (社)日本和裁士会編「知っておきたい和裁の知識」

子供きものの種類①

子供物(児裁ち)と呼ばれるきものの種類は、小さい順に並べると一ッ身、二ッ身、三ッ身、四ッ身、大四ッ身(五ッ身・別衽裁ち)が有り六ッ身は大人物(本裁ち)となります。一ッ身は生後から、五ッ身あたりでは12歳程度まで着ることができます。

  • 一ッ身は生後から2歳頃までで、産着などが作れます。
  • 二ッ身と三ッ身は原則、両面物(裏表がない生地)でないと作れません。三ッ身は片面物でも作れますが余分な残布が出てしまい不経済で、一ッ身~三ッ身の身幅がほぼ同じなので、二ッ身や三ッ身は現在ほとんど作られていません。お祝い着以外に日常着の需要がなくなったことも原因の一つです。
  • 七五三で着る祝着は、ほとんど四ッ身のきもので、身丈と裄を長く作り、肩で摘む「肩揚げ」、胸元から腰で摘む「腰揚げ」を行います。(他に必要ならば袖揚げや肩や腰の二重揚げなどを行います)出来上がりの大きささにもよりますが、およそ3年間くらい着られる様な長さになっています。

後日、子供着物の種類を詳しく説明します。

・キラキラネームの影響?

きらきらネームが流行っていたちょっと昔、読むのが難しい名前も多く、男の子なのか、女の子なのかも分からないことが多く、幼稚園や小学校の先生は四苦八苦していたと聞きます。その頃、七五三の貸衣装屋さんや、写真屋さんがこぞってダイレクトメールを七歳・五歳・三歳がいる家庭へ、男女の着別なく送付したそうです。なので三歳・五歳・七歳の3回、お祝いをするようになった地域があるそうです。


・重たい7歳祝い着

昔々、とあるチェーン店展開する呉服店の支店から「大人用振袖を7歳の祝い着にしてください」と依頼がありました。7歳の寸法で仕立てて、20歳の時には仕立て直してきたいとのことです。店員さんの強いご要望があり、仕立てましたが、丈も幅にも縫い代が多く、肩揚げ、袖揚げもあり、予想通り子供にとって重たい物となりボコボコになりました。しばらくして本店の方より電話があり、そのような場合は、一度本店に聞いてくださいとのことでした。
袋帯もありました。丈も幅も縫い込んで、ほしいとのことでした。織り方にもよりますが、金糸銀糸等のキラキラした糸を使っている場合は特に、その後の縫い跡は消えないので注意が必要です。また、布の厚みにもよりますが、丈も幅もゴロゴロで締めにくくなる場合があります。

・サイズを表す子供物の呼び方?

三ッ身は3歳用と思われがちですが、布の長さによってベストな裁断方法で仕立てます。その呼び方が、一ッ身~六ッ身(大人用=本裁ち)であり、反物の長さを考慮して、子供の成長に合わせて仕立てます。
「子供用きもの(児裁ち)」とは生まれてから12~13歳位までに着るきものを指します。子供のお祭り用法被を買いに行った時、「三ッ身ですか、四ッ身ですか?」と聞かれたことがあります。お祭り用法被などの場合は三ッ身より大きいサイズが四ッ身といった具合に、サイズのことをさしているようです。

参考書籍

  • 愛知県和裁教授連盟 発行「わさい」
  • (社)日本和裁士会編 「新版和服裁縫」
  • (社)日本和裁士会技術指導部・技術研究部編「和裁教科書」
  • (社)日本和裁士会編「知っておきたい和裁の知識」

子供のきものといえば・・

まずは七五三の着物でしょうか。
子供のきものと聞かれて真っ先に思い浮かぶのは七五三のお祝着ではないでしょうか。七五三のお祝いは、11月15日に晴れ着を着て神社などに参拝し、子供の成長を祝う儀式です。3歳のお祝いは女の子で「髪置きの祝」、5歳は男の子で「袴着(はかまぎ)の祝」「着袴(ちゃっこ)の祝」、7歳は「帯解きの祝」と呼ばれています。一般庶民がお祝いするようになったのは、明治時代からといわれています。着るきものは主に四ッ身が主流です。七五三などの祝着の場合は袖丈が長い「長袖」で、普段着には元禄袖(女児)、舟底袖・筒袖(男児)を付けます。

初めての参拝「お宮詣り」
お宮詣りとは、子供が生まれてから1ヶ月後(男児32日目、女児33日目に行うとされています:地方では100日後)に氏神様へ初めて詣でるお祝いの儀式です。そのお宮詣りの時に着る2枚重ねの式服「宮参り産着(うぶぎ)・宮参り掛着(かけぎ)」があります。
主に一ッ身が用いられますが、地方によっては長尺物を使い五ッ身(別衽裁ち四ッ身)などにして作られることもあります。袖は大名袖です。(袖口は広口)

大人の女性へ「十三詣り」
関西方面で、主に女の子のお祝いで「十三詣り」という儀式があります。和服はほとんど大人寸法で作り大四ッ身(五ッ身・別衽裁ち)または大人用きもの(本裁ち=六ッ身)に肩揚げしたものを着て、大人と同様にお端折りをし、袋帯などの大人用帯を締めます。

参考書籍

  • 愛知県和裁教授連盟 発行「わさい」
  • (社)日本和裁士会編 「新版和服裁縫」
  • (社)日本和裁士会技術指導部・技術研究部編「和裁教科書」
  • (社)日本和裁士会編「知っておきたい和裁の知識」