帯芯の裁断

帯芯の裁断

道具箱の奥からこんな物が出てきました。

帯芯裁ち包丁

名古屋帯や袋帯の帯芯を裁断する時に使う「帯芯裁ち包丁」です。今から20数年前に使っていたものです。畳屋の娘のカミさんがこの包丁を見て、畳表のイグサを切る時にも、この様な包丁を使うと言っていました。

私が名古屋での修行中も、この様な包丁を使って帯芯を裁断していました。帯芯は両端を切って、帯幅に合わせて裁断します。帯芯を八ッ畳みにして、木製の幅広の定規の上に乗って、体重で固定させ、この包丁でザクザクと切り落とします。今となっては、この作業は、おじさんの硬くなった身体では無理です(^_^;)

以前の帯芯の裁断(イメージです)

修行中、包丁を砥石で研ぐのは私の役割でした。

修業後、実家に戻り仕事を始めましたが、実家には幅広の定規がない事と、使っていた定規が削れてしまって真っ直ぐに切れない、下に敷く板のささくれがひどい、どれも木製なので大工さんに真っ直ぐ削ってもらわなければならなく時間が掛かる、定規と板が1セットしか無かった、などの理由で、料理用の厚く長いまな板と、市販のアルミ製定規、カッターナイフを使うようになりました。

帯芯の裁断の道具

私の場合、道具を変えたことで、透ける帯の場合などや帯の厚み、帯芯の厚みによって帯芯の幅を微妙に調節する場合など、思ったような幅に、正確に帯芯を裁断することができるようになりました。

現在のの帯芯の裁断

修行中大変お世話になった師匠のお母さんの話です。

以前は帯の仕立の職人さんが多く、同じ幅の帯芯は3枚とか数枚、多い時で10枚くらい重ねて裁断を行っていました。思い切って、包丁に力を入れて切るので、足の指を切ってしまう方もいた・・・・・・と聞いています。

2016年9月24日 | カテゴリー : | 投稿者 : 和裁屋