対丈の和服

毎日、熱いですね。

浴衣や単衣の仕立て依頼も一段落し、現在、袷物の仕立てが殆どを占めています。

以前、呉服店から男物浴衣の仕立て依頼があり、伝票も見てみると身長とスリーサイズ、その他は「お任せ」と記されていました。
女物着物は、お端折りがあり、裾の位置を微調整できますが、男物や女物の長襦袢、雨コートなど対丈で着る和服の身丈は、調節する部分がありませんので、仕立ての際には、目安となる計算式や寸法表を照らし合わせます。
直接、来ていただいた方に対しては、正確を期するために実際に着る方が着物を着て、そこからどれだけ長いのか短いのかを測り身丈を決めます。
目安となる計算式は以下の通りです。(以下(一社)日本和裁士会発行「新版和服裁縫上巻」より)

  • 男物着物
    身丈=身長-26cm~27cm または
    身丈=身長×0.83~0.85
  • 女物長襦袢
    身丈=身長-30cm または
    身丈=身長×0.8
  • 男物長襦袢
    身丈=身長-30cm または
    身丈=着物の身丈-2~4cm
  • 女物雨コート
    身丈=長襦袢丈+2cm(仮縫いした方が良い)

呉服店によってはテープを使って身丈を測ってみたり色々な工夫をされているお店もありようですが、着物を着ていただくことが一番だと思います。

以前、直接に「長襦袢が長い」と女物長襦袢の身丈直しの依頼がありました。とてもふくよかな方で、身長やスリーサイズをお伺いし、長襦袢の身丈を測ってみました。とてもふくよかな方は、方の厚みや胸、お腹で長さを取られるので、上記の身丈に6cm程度長く仕立てますが、仕立て上がっている長襦袢の身丈は、ちょうどそのくらいでした。着ていただくと、裾が床で広がるほど長く、ずってしまいます。
体型をよく見てみると、とても「なで肩」の方で、その為に計算や表の身丈では、いけなかったのだと思われます。

男物の場合、浴衣は涼しげに見せるために少々短く着ますが、足袋を履く単衣の着物の場合では、浴衣と同じ身丈では短いと思われます。

私の場合、着物を着て動いたりすると、裾が上がってしまうので、目安の寸法よりちょっと長めにしています。

また、確実に袴を着ける羽二重などの着物は、足さばきをよくするために、ふくらはぎ程度の身丈で作ったり、着流しの着物は裾を端折って綴じたり、安全ピンで留めたりしています。