あれ!左右逆じゃない?(柄の合わせ方2)
先日、テレビを見ていたら、妻が「あれ、左右逆じゃあない?」と、言ったのでテレビを見てみると
左右逆?
とあるファッションモデルの方が、右身頃が上にして着ている浴衣姿の写真が映し出されていました。ブログ??ツイッター??の写真とのこと・・・・
よーく見るとちょっとピントがあまい写真で、私は「鏡で映して撮ったんじゃあ無いのかな?」なんて返事をしましたが、説明無しに写真だけ見ると、逆に着ています。
私たちが、浴衣などの比較的大きな柄物を裁断する時に、特に気を遣うのが、左前身頃の柄なので、左右逆に着たきものを見ると「なんか変じゃあない???」と2度見してしまいます(^^;)
ここで、着物の柄合わせについて、ざっくり説明します。
基本的な柄合わせ
基本的な柄合わせは上のイラストのように、全体に柄がくっつかないようにします。
ポイントは、
①左身頃(上前)の胸辺り、上向きの柄を配置します。
②上前衽の裾から50cm~60cm程度の所に上向きの柄、その柄と交互になるように上前身頃の柄を配置します。
③後身頃裾から50cm程度の所に柄を配置して、反対側の身頃の柄が交互になるようにします。
その他:袖の柄、掛け衿の柄も身頃の柄と並ばないように、注意します。あと、着た時に以外と目立つのが、左脇の柄ですね。脇も前後身頃の柄が並ばないように注意します。
一反の反物の長さはおよそ決められていて、特に浴衣の反物は短いものも多く上のイラストのようには、うまくゆかないものもありますが、全体に柄が散らばって配置されるようにします。加えて、着る方の寸法もありますので、上前の胸、衽の柄、全体の柄の配置といった順番で、優先順位を付けて見積もりをします。
・その他、一方向きの柄もあります。
上のイラストのように、右身頃の後・右袖の後の柄を立たせる、左身頃の前・左衽・左袖の前の柄を立たせる、また、左右前身頃・前袖の柄を立てる、後を立てる・・・・・などなどパターンがあります。
・片側が色の違う反物もあります。
同じ色をくっつければすっきりした感じの着物となり、色目にもよりますが、交互にすれば派手目となります。
交互にする(追い裁ち)
色を揃えた場合
私たちは、着られる方と相談して、イメージを作ってから仕立てに取りかかっています。
ふと思ったんですが・・・・・
現在の着方、右衽(右身頃)を先に着てから、左衽(左身頃)を合わせるという着方は、奈良時代に決まったことですが、これから数十年後、時が経って「和服もファッション!」と有名なモデルさん達が言い始めれば、左右関係無しにきものが着られる時代が来てしまうかもしれませんね?
でも、現在では左右逆に着る場合は、棺桶に入っている方の経帷子だけですので、くれぐれもお間違えの無いようにしましょう!
死者の着物(経帷子)は逆に着せます。